2014年01月06日-01月10日
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立ち往生の極地観測船「雪竜号」、7日から8日が脱出のチャンス

2014年01月07日

 北京の国家海洋環境予報センターは今日も、一級緊急対応状態という厳戒態勢を敷いている。極地環境研究予報室の張林室長は記者に対して、「流氷の中で立ち往生している雪竜号は、1月7日から8日にかけて脱出に有利な時期を迎える」と語った。科技日報が伝えた。
 雪竜号が立ち往生しているのは、南磁極に近いメルツ氷河が大洋に向かい伸びる海域だ。同海域は南極の中でも、多くの流氷を生む場所とされている。予報センターが1979年以降の流氷密集度の図に基づき判断したところ、現在の同海域の流氷は、同期としては過去35年間の中で最も深刻な量となっている。
 張氏は、「先ほどまで6−8級(風速10.8-20.7メートル)の南東の風が吹いていた。その時期が長かったため、流氷が厚く頑丈になっている。南東の強い風が持続的に吹き、かつ西の風が少なかったため、流氷が雪竜号の海域に流れてきた。衛星写真を見ると、雪竜号は一面の白い流氷の中にあり、東の氷の混じる青色の海面まで一定の距離がある」と指摘した。
 張氏は、「現場の写真からも、雪竜号の隣にあるのは大きく分厚い平らな氷であることが分かる。この氷は棚氷、長年に渡り溶けることのなかった氷だ」と説明した。南極海でよく見られる通常の氷と比べ、南極大陸の棚氷は分厚く硬いため、雪竜号はこれを力で突破することができない。
 張氏は、「雪竜号は氷のない海域まで、あと15−6キロほど離れている。周囲の硬く分厚い流氷に覆われた海域は、3−5キロの広さに達する。同海域の流氷の厚さは、3−4メートルとなっている。この海域を突破し、薄い流氷の海域に入れば、雪竜号は問題がなくなる。同海域の流氷の厚さは通常2メートル以下で、薄いものだと1メートル以下だ」と語った。
 予報センターは、7日より現地の風が西よりになり、西の風が8日午後まで吹き続けると判断している。8日夜、現地の海域には持続的な東の風、もしくは南東の風が吹く。つまり7日から8日の正午にかけてが、雪竜号の脱出にとって絶好のタイミングとなる。
 張氏は、「しかし7日の北西の風は2−5級(風速1.6-10.7メートル)のみで、先ほどの南東の風と同じ強さではない。流氷の状況がやや緩和されることを期待するのみだ」と述べた。
 また船舶が最も恐れるのは氷山だ。一般的に氷山は動きが緩慢で、海の流れによって移動する。雪竜号の付近にある二つの氷山のうち、一つは北に5キロ、もう一つは南東に8キロ離れており、現時点では危険性はない。

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