2014年03月03日-03月07日
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宇宙技術の普及、航空機内でブロードバンド接続が可能に

2014年03月07日

 中国宇宙科学技術集団公司副総経理(副社長)の張建恒氏は6日、「航空機の乗客は間もなく、家にいる時と同じようにネット接続できるようになる。当社は複数の航空会社および通信事業者と業務提携しており、近日中に航空機でブロードバンド接続サービスの提供を目指す。関連技術はすでに成熟しているが、さらに検証が必要だ」と語った。科技日報が伝えた。
 航空機ブロードバンド接続サービスの提供は、衛星の応用を基礎としている。張氏は、「中国は近年、衛星の応用で長足の進歩を実現したが、普及はまだ不十分で、今後さらに普及を進める必要がある。例えばモノのインターネット、スマート都市、スマート交通などの面で、衛星の応用の将来性が高い」と指摘した。
 張氏は、「当社は航空宇宙技術の国民経済での利用を主業務としてきた。当社の民間用産業は、中国の国民経済の20の業界のうち18に関連しており、約600種の製品がある。当社は特殊設備、省エネ・環境保護設備、先進材料・応用、電子情報商品などを主な取り組み内容とし、航空宇宙技術の応用を大々的に推進する」と表明した。
 このほど注目を集めている有人宇宙プロジェクト、月探査プロジェクトを例にすると、多くの技術が民間用への転化を実現している。張氏は、「ロケットエンジンの推進剤の燃焼技術を転化して開発した石炭ガス化技術は、すでに化学工業製品の生産、および石炭液化油、石炭由来天然ガス、石炭火力発電に幅広く活用されている。液体燃料ロケット推進剤を送り込む技術、流体制御技術を転化して開発した長距離パイプライン用オイルポンプは、中国石油化工集団のパイプラインに利用されている。これらの高級設備は、以前ならば完全に輸入に依存しており、価格も高額だった。ロケットエンジンターボポンプを転化し、各種のさまざまな用途を持つ消防ポンプ製品を開発した」と説明した。
 しかし張氏は、「中国宇宙事業の技術成果の民間用への転化の比率は、先進国との間にまだ開きがある」と指摘した。調査によると、宇宙事業の投入産出比率は約1:2となっている。関連分野への波及効果を考えると、欧米諸国は約1:7から1:14の比率となっているが、中国は1:7から1:10の比率で、依然として開きがある。米国の宇宙事業技術成果の転化率は80%に、欧州の先進国は約50%に達しているが、中国は10%に達したばかりだ。

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