2014年04月21日-04月25日
トップ  > 科学技術ニュース>  2014年04月21日-04月25日 >  中国人科学者、「夜盲症」を引き起こす新しい遺伝子を発見

中国人科学者、「夜盲症」を引き起こす新しい遺伝子を発見

2014年04月21日

 浙江温州医科大学の研究チームはこのほど、散発性もしくは劣性遺伝の網膜色素変性症患者248人のDNAシークエンシングを実施し、常染色体の劣勢網膜色素変性症を引き起こす原因となる遺伝子「SLC7A14」を発見した。同研究成果はこのほど、世界的な科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。科技日報が伝えた。
 網膜色素変性症は「夜盲症」とも称される、眼科では最もよく見られる遺伝性の眼病で、成人の失明を引き起こす主因となっている。中国には50−120万人の患者がいると見積もられている。患者の主な症状としては、夜間に物がよく見えなくなり、視界が狭くなることが挙げられる。病状が深刻化すると、日中の視力も低下し、失明に至ることもある。網膜色素変性症の明らかな症状が現れるのは、30・40代に集中している。
 同研究成果の筆頭著者、温州医科大学の金子兵教授は、「現在までに発見されている網膜色素変性症を引き起こす遺伝子は70以上に達するが、これを正確に診断することが臨床上の大難題となっており、遺伝子診断は研究の重点となっている。本校の研究者は新しいDNAシークエンシング技術により、網膜色素変性症を引き起こす新しい遺伝子のSLC7A14を発見し、さらに数百人の患者のスクリーニング検査により、4人から同類遺伝子のホットスポットの変異を確認した。遺伝子の突然変異をめぐっては、体外細胞実験、ゼブラフィッシュおよび遺伝子ノックアウト後のラットの利用といった技術的な手段により、新型遺伝子を詳細に検証した。これにより同遺伝子の変異が網膜色素変性症を引き起こし、視覚機能に深刻な影響を及ぼすことを証明した。同研究はすべて本校で実施され、本校が100%の知的財産権を持つ」と説明した。
 温州医科大学の研究者は長年に渡り、温州医科大学付属眼視光病院で、網膜色素変性症の問診(遺伝性眼病専門)を実施し、高い治療効果を得た。今回は網膜色素変性症を引き起こす重要な遺伝子を明らかにし、生物学の技術により遺伝子変異の機能を分析し、同病の臨床上の正確な診断、遺伝子治療、薬物治療などの基礎を築いた。同遺伝子が引き起こす疾病は深刻で、かつ発症が早いため、すでに世界から重視されている。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます