2014年05月19日-05月23日
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3D印刷でチタン合金人工肩甲骨・鎖骨を作成、世界初の手術に成功

2014年05月30日

第四軍医大学西京整骨科医院はこのほど、3D印刷技術によって作成したチタン合金人工骨を利用し、患者の手術を施した。患者らは5月28日午前、同病院の会議室内で、治療に当たった郭征教授に花束を渡し、感謝を示した。科技日報が伝えた。
世界初の3D印刷肩甲骨腫瘍摘出手術を受けた楊萍さん(仮名)、世界初の3D印刷鎖骨腫瘍摘出手術を受けた魏鳳さん(仮名)、アジア初の3D印刷骨盤腫瘍摘出手術を受けた党平さん(仮名)は、悪性腫瘍と診断され、手術による摘出が必要だった。腫瘍摘出後に骨が損なわれるが、伝統的な標準化された人工骨では、患者ごとに異なる損傷部位を再建できず、機能障害が生じることが多い。
今年3月下旬から4月上旬にかけて、同病院の裴国献院長、郭教授ら専門家の議論、同病院の倫理委員会の許可を経て、3D印刷技術を用いた施術が決定された。手術前に、医療チームは患者のレントゲン資料に基づき、形状・構造、腫瘍切除後に失われた骨に完全に一致する模型を作り、同時に局部の生物力学環境に基づき人工骨の設計を終え、3D印刷技術によりチタン合金人工骨を作成した。この人工骨は手術により体内に植え込まれ、切除された骨の代わりを果たし、手足の機能を回復した。そのうち3D印刷された肩甲骨・鎖骨のチタン合金人工骨の臨床応用は世界初、骨盤はアジア初のケースとなった。
術後2カ月の訪問観察を経て、3人の患者の手足の外観と機能が満足できるほど回復した。
3D印刷技術の成熟化に伴い、医療分野、特に骨腫瘍再建の臨床応用の将来性が高まる。
同病院は同分野の研究を長年続けており、研究成果を専門誌「Biomaterials」などに掲載し、3件の国家発明特許を取得した。これにより棘突起間スペーサー、股関節骨頭帽、骨腫瘍人工骨といった3D印刷製品を開発し、現在は製品の検査と臨床検査を実施している。

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