2014年06月16日-06月20日
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国産リハビリロボット「神工1号」、思考による筋肉の制御を実現

2014年06月16日

 下肢の不自由な少年が脳で制御するパワースーツを使い、今年のブラジルW杯のキックオフを務めた。この摩訶不思議な技術は、中国人からもそう遠くは離れていない。中国青年報が伝えた。
 天津大学と天津市人民病院は14日、共同開発した人工神経リハビリロボットシステム「神工1号」を発表した。これは世界初の、脳卒中のリハビリに使用される「100%思考制御」の人工神経ロボットシステムだ。W杯で登場したパワースーツとは異なり、同システムは大脳皮質と筋肉の活動を整合させ、思いのままに体を操ることができる。
 同システムの発表会では、半身不随の患者が同システムを使い、本来ならば動かすことのできない肢体を「指揮」して動作を完了することができた。プロジェクト責任者、天津大学精儀学院教授の明東氏は、「脳卒中の患者は、中枢神経もしくは周辺神経の損傷により、大脳が正確な指令を出せず、周辺神経に命令を伝えられない。同システムは正確かつスムーズに脳内の信号を解読し、中枢神経を再建するほか、完全な人工神経ルートを構築することで、損傷を受けた中枢神経と周辺神経を連結させることができる。まず被験者の脳波のデータを取得し、これを使い脳とシステムを結ぶ中枢神経ルートを構築し、被験者の運動命令を解読し、筋肉の電気刺激技術により周辺神経ルートを構築し、肢体を刺激し動作を実行させる」と説明した。
 同システムは、非侵襲脳波センサーモジュール、想像された動作の特徴を検出するモジュール、運動の意図を識別するモジュール、指令番号インターフェースモジュール、刺激情報調整モジュール、電流刺激出力モジュールの6つに分かれる。被験者は電極が取り付けられた脳波計を頭部に装着し、かつ肢体の筋肉に電極を取り付ける。同システムは非侵襲で脳波を読み取ることができ、チップを大脳や脊椎に植え込むことなく、正確に人の思考を判断できる。
 明氏は、「脳で制御するパワースーツは筋肉を自主的に収縮させるのではなく、機械を外骨格として装着する。神工1号は神経と筋肉の電気刺激を利用し、神経が生み出す電気刺激により筋肉を自主的に収縮させ、骨格と関節の自主的な動作を促す。これは人体の自主的な運動の原理と一致し、患者にとって重大な意義を持つ。患者は神工1号で動作を実行できるほか、回復を早めることもできる」と語った。天津市人民病院リハビリ科主任、天津市リハビリ医学研究所所長の杜金剛氏は、「これはリハビリ医学の重大な進展だ」と語った。

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