2014年06月23日-06月27日
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有人月探査機「嫦娥5号」、年末に地球帰還のシミュレーションを実施

2014年06月24日

 国際プラネタリウム協会(IPS)の第22回総会が北京で開かれた。「嫦娥の父」と称される欧陽自遠氏は開幕式で、「中国は今年末、嫦娥5号の地球帰還のシミュレーションを実施する。中国の未来の深宇宙探査のターゲットは太陽系で、火星のサンプル収集と帰還、太陽フレアの研究などを実施することになる」と発言した。北京青年報が伝えた。
 中国月探査プロジェクト指導チームの高級顧問である欧陽氏はスピーチの中で、「嫦娥5号の帰還モジュールによる地球帰還に向けたシミュレーションを、今年末に実施する」と述べた。中国の月探査プロジェクトの「3ステップ(周回・着陸・帰還)」戦略に基づき、月探査・帰還任務を担当する嫦娥5号は、2017年に海南省文昌市から打ち上げられる。打ち上げに用いられる新型ロケット「長征5号」は、現在も開発が進められている。嫦娥5号の任務は嫦娥3号より複雑になる。これは着陸機に、ロボットアームとハンマーグラブが取り付けられるからだ。前者は月面で石のサンプルをつかみ、後者は月面で穴を開けることができる。両者が取得したサンプルは、地球に送られることになる。大気圏内に突入する際の燃焼の問題を解消するため、帰還モジュールは宇宙と大気圏の間を数回行き来することで発熱を減らす。
 欧陽氏は月探査の他に、「中国の未来の深宇宙探査のターゲットは太陽系で、すでに案が練られており、将来的に実施に移される」と表明した。深宇宙探査の目標には、地球以外の太陽系の生命情報、太陽系の起源・形成・変化、太陽フレア、小惑星の地球衝突の可能性、地球外の資源・エネルギー利用の将来性、地球以外の人類の生存に適した星の発見といった内容が含まれる。すでに計画されているのは火星探査で、2020年に火星の着陸と探査を実現し、2030年に火星のサンプルを地球に持ち帰る。

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