2014年07月01日-07月04日
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「百度大脳」、W杯の結果から疾患まで予測可能

2014年07月01日

 ドイツの優勝確率は17%、アルゼンチンは12.9%――検索エンジン百度のビッグデータエンジンを開くと、ワールドカップの予測に関する欄があり、各チームの優勝確率の分析を見ることができる。これはビッグデータのリアルタイム分析によって得られた結果だ。人民日報が伝えた。
 このビッグデータエンジンは、いかに稼働しているのだろうか?人類の思考と同じく、ビッグデータエンジンのデータ検索・分析・予測は、コンピュータの大脳である「百度大脳」によって実現される。この「大脳」はコンピュータにより擬似的な脳神経を構築し(人の脳の学習・分析能力を含む)、多層的な学習モデルと大量の訓練データにより、データのスマート分析を実現し予測を行う。
 百度の高級副総裁の王勁氏は、「機能から百度大脳を定義づけるならば、コンピュータによる大規模かつ掘り下げた学習を基礎とする人工知能の検索エンジンにおける応用と言え、検索サービスの改善とユーザーの利便性の向上を目的とする。例えばユーザーは現在、伝統的な検索エンジンではウェブサイトのリンク先しか入手できない。ユーザーは検索エンジンにより、答えを直接見つけたいと思っている。また個性化された検索が必要で、より自然な人と機械の交流(音声や画像を機械に認識させる)により、自身の需要に合う正確な情報を手にしようとしている」と述べた。情報によると、中国には毎日60億回の検索の需要があるという。
 百度大脳の思考を通じ、音声認識の失敗率が20−30%低下し、漢字のスキャンの誤読率も30%低下した。その画像検索効果は、他社の製品を上回る。ビッグデータにより広告のアクセス率の上昇、ウェブサイトの検索順位の改善などが可能だ。
 百度大脳はビッグデータの応用の原動力として予測サービスを提供しており、社会的な価値を示しつつある。W杯の予測の他に、大学の選択、都市の観光の人気度、観光地の快適度、疾患などを予測できる。「疾患予測」では、所在都市でインフルエンザが流行しているか、市民はどの病院に通っているかを知ることで、現在の伝染病の情勢、今後7日間の変化を見て取ることができる。
 百度ビッグデータエンジンの予測の原理は次の通りだ。例えば、ネットユーザーは毎日百度を使い、伝染病に関する情報を検索している。これを集めれば統計の法則が形成され、一定時間の蓄積により予測モデルが出来上がり、今後の疾患の活発度を予測できるようになる。
◆人の脳神経を再現
 百度の会長兼CEOの李彦宏氏は今年4月、百度大脳というプロジェクトを初披露した。王氏は、「百度大脳は時勢に応じ、多方面からの後押しを受け誕生した」と語った。
 王氏は、「まずはサーバーとクラウドコンピューティングの能力の進化で、数万台のサーバーを集め1台のサーバーのように稼働させられるようになった。次にビッグデータの蓄積が、相当な規模に達した。2013年に世界では毎日25PB(ペタバイト)のデータが生まれたが、これは国家図書館1500館分の情報量に相当する。インターネット技術の急速な進歩、データベースの蓄積は、人工知能に飛躍を実現する環境とチャンスをもたらした」と分析した。
 王氏は、「最も重要だったのは、学習技術の進歩と更新だ。人工知能で重要になるのは、コンピュータがアルゴリズムを通じて大量の過去データから法則を学び、新たなサンプルをスマート識別し、未来の出来事を予測するという、コンピュータの学習技術だ。1980年代末より、コンピュータの学習の発展は、浅い学習と掘り下げた学習の2度のピークを迎えた」と話した。
 この掘り下げた学習は人類の学習方法に近い。人類の大脳神経を再現し、より多層的なネットワークモデル構造により事物の外観や音声などの情報を収集し、感覚を理解し、それに応じた行動をする。例えばコンピュータに物体を「認識」させる場合、幾層かのネットワークが必要になる。まず最も基本的な1層の人工神経を作り、物体の輪郭などの基本的な情報を把握する。2層目の神経は1層目が感知した物体の輪郭を組み合わせ、物体の形状を認識する。それから3層目がさらに情報を組み合わせ、物質全体の形状と状態を認識する。王氏は、「この過程のすべてがコンピュータによって自動的に完了され、プログラマーは情報を入力する必要がまったくない」と強調した。
 李氏は、「百度大脳は2−3歳の児童の知力水準を持つ」と発言した。ムーアの法則の発展ペースによると、10−20年の蓄積により、人工知能の「大脳」に質的な変化が生じ、人の脳に追いつく可能性もある。

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