2014年07月07日-07月11日
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約5000年前の蹴鞠の岩壁画が発見 内モンゴル

2014年07月08日

 中国の岩壁画研究者はこのほど内蒙古(モンゴル)自治区巴彦淖爾(バヤンノール)市磴口県で、約5000年前の紀元前の蹴鞠を描いた岩壁画を発見した。専門家は、「これは陰山岩壁画としては初めての発見で、紀元前に現地の住民が蹴鞠の技術とルールを知っており、組織的に蹴鞠を楽しんでいたことを裏付けた」と指摘した。新華網が伝えた。
 内モンゴル師範大学鴻徳学院中国北方岩壁画研究所の専門家・呉甲才氏は4日、取材に応じた際に、「この紀元前の蹴鞠の岩壁画は、研究者が磴口県狼山格爾敖包岩壁画群を調査した際に発見したものだ。図案の中で、一人が飛び上がり球を蹴る格好をしており、周囲の人々は異なる姿勢をとっている」と説明した。
 呉氏は、「古代人が岩壁画にこの一幕を記録したのは偶然や思いつきなどではない。この岩壁画は、格尓敖包岩壁画群の『三皇像』の下に描かれている。古代人は三皇に食べ物を捧げ、スポーツを楽しんでもらおうとした」と指摘した。「中国岩壁画の父」と呼ばれる蓋山林氏は、この岩壁画は早期青銅時代から新石器後期のものであるとし、今から約5000年前のものと判断した。
 蹴鞠は古代中国の民間、国家の軍隊で広く流行した技能・スポーツで、今日のサッカーの起源となっている。蹴鞠は中国北方の重要文化としてその他の民族に影響を与え、徐々に世界に伝わっていった。
 専門家は、「この岩壁画から導き出された結論によると、蹴鞠は新石器時代後期に形成されていたことが分かるが、残念ながらこれを記載している古文書が存在しない。戦国策は2300年以上前の春秋時代、斉国の都城の臨シで蹴鞠が流行していたことを記録している。史記にも、蹴鞠は国家の軍隊が兵士の基礎体力と技術を訓練する、基礎的な訓練課目の一つであったと記載されている」と語った。
 呉氏は、「岩壁画と古文書は、華夏民族の蹴鞠が数千年を経て発展したことを記録している。唐・宋の時代には興隆期に入り、清朝中期から衰退し始めた」と語った。
蹴鞠は中華民族の無形文化財として、2006年に国務院の批准を経て、国家級無形文化財リストに入選した。

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