2014年07月07日-07月11日
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中国人科学者、冠状動脈の「出生の謎」を解明

2014年07月08日

 冠状動脈はいつ発育を開始するのだろうか?どこから成長を始めるのだろうか?いかに「規模化」を実現するのか?中国人科学者は10数年間の研究を経て、世界的に権威ある学術誌「サイエンス」(電子版)に研究成果を掲載した。この4日に掲載された成果は、冠状動脈の「出生の謎」を解き明かした。すでに明らかにされている心外膜の他に、冠状動脈には心内膜というもう一つの「起源地」があることが分かった。新華社が伝えた。
 ハーバード大学の成長学の研究で有名なバーンズ教授は、「同研究は、冠状動脈の起源の模索における画期的な成果だ。この重大発見は、心筋梗塞の血管再生治療、体外人工心臓血管の生成の研究、心筋梗塞後の心不全の発症率・死亡率を引き下げる再生医学研究に、新たな希望をもたらした」と評価した。
 世界的に見ても、冠状動脈硬化による心筋梗塞は病死の主因となっている。冠状動脈の「起源」について、科学界ではこれまで、冠状動脈が胚胎の時期に形成され、心臓の外部表面から「枝から芽が出る」ようにして、心臓内部に向かい成長するとされてきた。
 しかし同研究プロジェクトの責任者、中国科学院上海生命科学研究院栄養科学研究所の研究員である周斌氏はふとした偶然から、遺伝子組み換えラットの系図を解析中に次の発見をした。そのイメージング解析によると、心臓の一部の冠状動脈は、出生後に内側から外側に向かい成長しており、心臓の外部表面の血管から内側に向かうという説とは異なっていた。冠状動脈のもう一つの「起源地」として、心内膜が浮上したのだ。
 ネイチャーの編集者であるパーネル氏は、「同研究によると、出生後の心臓にも、新たな冠状動脈を生成する能力がある。これは冠状動脈の成長方式、血管の形成の概念の定説を覆し、心血管再生治療の研究にとって重大な意義を持つ」と指摘した。

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