2014年07月21日-07月25日
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中国製水中グライダー、最も将来性の高い海洋調査設備に

2014年07月21日

 5月の早朝、三亜湾と永興島の間の海域で、鮮やかな赤と黄色に彩られた飛行機のような物体が、母船のクレーンにより海の奥深くに投じられた。北京日報が伝えた。
 中国科学院瀋陽自動化研究所の兪建成氏は、「これは水中グライダーで、動力を用いず水中を1000キロ以上航行し、水深1000メートルまで潜ることができる。この60数キロの新型無人潜水器は、最も将来性の高い海洋環境調査設備と公認されている」と指摘した。
 推進装置を持たない水中グライダーは優秀な波乗りで、潜水して間もなく人々の視界から消えてしまう。科学者はパソコンを使い合成した地理・座標システムにより、事前に設定した航路によりその方位を判断する。
 兪氏は、「水中グライダーは、私たちが日頃使っている航空機とほぼ同じ形をしており、円柱型の機体を持つ。両側には力学の原理に基づく、浮力を強化できる翼を持つ。末端部には、可動式の、進行方向を制御できる垂直尾翼が取り付けられている。外見が似ているだけではなく、水中グライダーの航行の原理はグライダーとほぼ一致する。気流に乗って飛行するのではなく、水流を利用し航行する点だけが異なっている」と説明した。
 黄色の機体の内部には、二つの最も重要な装置「姿勢調節装置」、「浮力調節装置」が取り付けられている。兪氏は、「水中グライダーは、姿勢調節装置によって重心の位置を変え、浮力によって航行する。ゆえに水中では常に水平方向に前進するのではなく、曲線を描くようにして航行する」と述べた。
 科学者は水中グライダーの末端部に、長い棒状の衛星アンテナを挿し入れた。水中グライダーはアンテナにより、衛星システムを使い「保護者」と連絡を維持し、データを伝送し、位置を報告する。しかし総出力の問題により、水中グライダーは航行時に、外界と常に連絡を維持することはできない。
 兪氏は、「水中グライダーは今年、南中国海で中期海上試験、地域内の試験的応用航行を実施した。水深センサーが記録した最大水深は1000メートル以上に達し、水深1000メートルの観察を225回完了した」と話した。
 専門家は記者に対して、「各種センサーを搭載した水中グライダーは広範囲で、海水の温度・塩分・濁度・葉緑素・酸素含有量・潮の流れの変化といった情報を観測・収集することができ、海洋資源の開発、災害の予防などに重要な効果を発揮する」と指摘した。
 1期目となる5台の水中グライダーが、今年下半期より海洋研究部門に交付される。中国科学院瀋陽自動化研究所が開発した水中グライダーは、0.5ノットの速度で水中を2カ月間航行可能で、最長航続距離は1500キロに達する。科学者は今後、水中の航続時間が長い、より深く潜れる水中グライダーの開発に取り組み、中国の幅広い海域で観測を実施する予定だ。

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