2014年07月21日-07月25日
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ニコチン中毒、大脳構造・機能に影響

2014年07月24日

 ネット中毒になった青少年の脳神経の画像が公開され、世界的に注目を集めたのに続き、中国科学院武漢物理・数学研究所磁気共鳴画像法チームはこのほど、ニコチン中毒の脳の画像化で重要な進展を実現した。関連する研究成果はこのほど、ネット上で公開された。中国科学報が伝えた。
 喫煙は肺がんなど数多くの疾病を引き起こす重要な要因で、世界が注目する公衆衛生問題でもある。近年の研究結果によって、喫煙が呼吸器系、心血管系に悪影響をもたらし、さらに中枢神経系を損ねることが証明されている。疫学の調査によると、非喫煙者と比べ、長期・重度の喫煙者の神経認知機能が低めとなっている。
 中国科学院武漢物理・数学研究所はこのほど、武漢大学中南病院放射科と協力し、磁気共鳴画像法を利用し、平均年齢が約50歳の重度喫煙者の大脳構造と機能の異常を研究した。被験者の喫煙歴は25年以上で、毎日約2箱喫煙する。
 これまでの研究によると、重度喫煙者の脳梁には白質微構造異常が存在し、喫煙歴によってその程度が異なるとされていた。科学者は最新の研究で、画像化の手段により重度喫煙者の大脳機能ネットワークを分析した。データを見ると、長期・重度の喫煙者は非喫煙者と比べ、大脳機能ネットワーク全体の効率が低いが、局部の効率が高いことが分かる。後者は視覚や注意に関する脳回路に見られる。脳構造の異常と同じく、今回の研究により発見された脳機能ネットワークの異常は、喫煙歴とニコチン中毒の程度によって左右される。
 専門家は、「同研究はニコチン中毒の神経系への影響、喫煙の大脳への危害の理解に対して、基礎的なデータを提供した」と指摘した。

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