2014年08月01日-08月01日
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中国、エボラ熱対応に準備万端

2014年08月01日

 西アフリカ4カ国のギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネのエボラ出血熱流行により、8月4日までに累計1711人の感染者(疑いを含む)が確認された。死者は932人。今月2日から4日まで、45人が死亡した。リベリアのサーリーフ大統領は6日、エボラ熱が「国の存亡」を脅かしていると表明した。新京報が伝えた。
 国家衛生・計画出産委員会(以下、同委員会)は7日、「政府関連部門は感染症の国内侵入を阻止する措置を講じている。中国は、検査、診断キット、抗体の生産能力、ワクチンの開発能力など、エボラ熱に対応する科学技術力を持つ」と表明した。
◆国内では未確認、「輸入」の可能性は小
 同委員会の宋樹立報道官は、「国内ではエボラ出血熱の感染者が確認されていない」と述べた。
 同委員会は専門家による感染状況の研究・判断を進めており、世界保健機関(WHO)との連絡を強化している。WHOによると、エボラ熱がアフリカ以外の国や地域に入る可能性は低いという。
 しかし中国疾病予防コントロールセンター伝染病研究所所長の徐建国氏は、「人とモノの行き来があれば、エボラ熱は世界中に影響を及ぼす。予防部門は、低い可能性を最大のリスクととらえるべきだ」と指摘した。
◆南京ユース五輪、「異常」選手を隔離
 宋氏は、「エボラ熱の国内侵入を防ぎ、感染地域に向かう人員の健康を保証するため、関連部門は取り組みを強化している。そのうち口岸(出入国検査場)の管理強化が重点的な内容となっている。国家質量監督検験検疫総局や国家衛生・計画出産委員会などの部門は7月上旬に、エボラ熱の感染地域から入国した人員の健康状況の検査を実施すると発表した」と述べた。
 北京出入境検験検疫局の関係者は、「感染地域との間に直行便は開通していないが、検査担当者は乗り継ぎした乗客の国籍に関する情報を事前に把握するなどして、重点となる便・人員の管理を実施する」と語った。
 入国者の疾患・症状の検査において、疑わしい症状がある場合は直ちに医師による診断を実施し、3週間内の訪問先、エボラ熱患者および野生の霊長類との接触について質問をする。
 南京ユース五輪が8月16日に南京市で開幕する。ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの選手とスタッフに対して、江蘇省検験検疫局とユース五輪組織委員会は特別ルートを設け、感染国からの人員と設備に対して検疫を実施する。江蘇省の現地メディアの報道によると、競技中に身体に「異常」が見られた選手は、隔離されることになる。
◆診断キットが開発
 エボラ熱の潜伏期間は最長21日に達するが、発症前に感染を確認し治療することは可能だろうか?
 同委員会科学教育司司長の王辰氏は、「中国はエボラ熱の診断キットの開発能力を持ち、いつでも各地の感染予防部門に提供できる。しかし国内ではまだ症例が確認されていないことから、患者に使用することはできない」と話した。
 宋氏は、「同委員会はすでにエボラ熱の予防・治療プランを発表しており、感染症の診断・治療・報告の手段を明らかにしている。また各地の医療機関に対して、感染の疑いのある者、もしくは感染者を発見した場合、2時間以内に報告するよう求めている。感染予防部門は、すでに実験室の検査の準備を整えている」と説明した。
◆抗体の生産、短時間内で可能
 徐氏は、「2008年から現在まで、中国には約9つの科学技術重大特別課題があり、10の国家級研究部門がエボラ熱の研究に従事している。各部門はワクチンや治療薬などの研究により、中国のエボラ熱対応に技術的な支援を提供している」と述べた。
 王氏は、「米国の2名の患者に対する抗体治療で、効果が出ている。中国は抗体技術の面で、各抗体を生成する能力を持っている。中国はエボラウイルスの抗体の遺伝子を把握しており、抗体を短時間内で生産できる」と語った。

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