2014年08月04日-08月08日
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中国の医学界、エボラ熱の対応法を発表

2014年08月15日

 中国国家衛生・計画出産委員会科学技術教育司長の王辰氏は、「中国はエボラウイルス検査キットの開発能力を持ち、いつでも各地の感染予防部門に提供できる。しかし国内ではまだ症例が確認されていないことから、患者に使用することはできない」と述べた。人民日報海外版が伝えた。
 王氏は、「米国の2名の患者に対する抗体治療で、効果が出ている。中国は抗体技術の面で、各抗体を生成する能力を持っている。中国はエボラウイルスの抗体の遺伝子を把握しており、抗体を短時間内で生産できる」と述べた。
◆外因性インターフェロン
 医学界では現在、インターフェロンはエボラウイルスの治療に効果を発揮しないとされている。しかし予防ワクチン・治療薬が開発されていない現状を鑑み、中国の著名な伝染病専門家、解放軍302病院専門家チーム長の陳菊梅氏は、「外因性インターフェロンのエボラウイルスへの効果を確かめるべきだが、治療は早ければ早いほど良い」と語った。
 陳氏は、「インターフェロンは細胞が一定の誘導剤の働きによって生み出す一種のタンパク質で、抗ウイルス、抗腫瘍、免疫調整の作用を持つ。科学者は1980年代より、人類の使用に適したインターフェロンを開発し、慢性のB・C型肝炎、帯状疱疹などのウイルス感染症の治療に幅広く活用してきた。しかしエボラウイルスは急速にリンパ球を破壊し、免疫システムを徹底的に破壊することから、患者は本格的な発症後にインターフェロンを使用しても間に合わない」と説明した。
 陳氏は、「エボラウイルス患者の発症の初期に、インターフェロンを使った治療を行うことが可能だ。その際、内服、筋肉注射、霧化の3種類の手段を選べる。霧化は呼吸器を通じ人体に入る手段で、インターフェロンに接触した細胞が抗ウイルスタンパクを生み、ウイルスの侵害を防ぐ。症状が深刻な患者は、身体的な状況が許す限り3種の手段を同時に使用し、人体の免疫システムの機能を刺激するべきだ」と提案した。
◆血清療法
 エボラ熱の確かな感染源が特定されておらず、予防ワクチン・治療薬が開発されていないことから、世界各国のエボラ熱予防が難しくなっている。中国の伝染病専門家は、血清療法がエボラ熱の治療に効果を発揮する可能性があると指摘した。
 エボラウイルスは猛威を振るっているが、伝染病を引き起こすウイルスの一般的な法則を守っている。エボラウイルスは、はしか、ジフテリアなどの伝染病と同じく、人体に入るとまずリンパ球を攻撃する。次に肝臓、脾臓という2大臓器を攻撃し、最終的に各臓器の機能を徹底的に破壊し、全身の免疫システムを損ねる。
 ゆえに血清療法は、受動的な免疫療法と言える。この治療法では、回復期の患者もしくは動物の、すでに免疫力を持つ血清を患者に注射する。

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