2014年10月20日-10月24日
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細菌燃料電池、中国人科学者が発明

2014年10月27日

 浙江大学エネルギープロジェクト学院教授の成少安氏はこのほど、トムソンロイターが発表した「世界で影響力を持つ科学者2014」の、環境・生態学「高被引用数科学者」に入選した。成教授の実験室では、「馴化」を経た無数の細菌が、汚水を利用し発電を行っている。人民日報が伝えた。
◆細菌の「馴化」 廃水をクリーンにし、発電を実現
 成教授の実験室には、マッチ箱よりやや大きめの、数十個の透明な「箱」が置かれている。これは細菌電池の「原型」だ。細かく見ると、箱の上には二つの小さな穴がある。そのうち一つは汚水を注入する穴で、もう一つは細菌によって「消化」された、きれいになった水を排出する穴だ。箱の両側には二つの円形の材料があり、そのうち一つは陽極、一つは陰極だ。細菌は陽極の表面で成長し、廃水の有機物を消耗し新陳代謝を行う。生まれた電子は、電極に送られる。表面に一つの負荷を加えることで、電流が形成される。
 成教授は、「当初は1平方メートルの電極材料から0.1-2mW程度しか発電できなかったが、これを数十mW、数千mWと5桁引き上げた。細菌は馴化により、廃水に含まれる有機物を持続的に消耗する。廃水をきれいにし、発電の効果を得ることもできる。これは環境にとってもゼロ負担だ」と説明した。
 細菌燃料電池は、細菌を汚水の中で自由に泳がせるのではなく、できるだけ多くの微生物を電極の表面に付着させる。これが難点の一つだ。電極材料の研究開発が、今後の取り組みの方向性となっている。成教授の設計した実験装置・材料は非常に優れていることから、全世界の多くの実験室で使用されている。
 成教授は、「計算によると、10万人規模の小都市で、生活によって排出された汚水を発電に用いた場合、1000戸の電力を賄うことができる」と述べた。
 成教授は、「中国では毎日54億トンの廃水が生まれる。実験室のような小型の装置ではこれに対応できない。大型化の研究を進め、この装置を立法メートル級、さらには数十立法メートル、数百立方メートルの単体にしなければ、実用化は不可能だ。この技術を実験室から進出させるためには、科学者の共同の取り組みが必要だ」と話した。

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