2014年10月20日-10月24日
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第31次南極科学観測、30年間の歩みを総括

2014年10月31日

 中国第31次南極科学観測隊は10月30日、上海市浦東区の中国極地観測国内基地の埠頭を出発し、163日間の科学観測任務を開始した。第31次科学観測は、中国が1984年に南極観測を開始してからの、30年間に渡る科学研究・後方支援などの発展を総括するものとなる。中国南極科学観測隊は30年後の再出発で、新たな道を切り開く。人民日報が伝えた。
◆科学観測の4つの見所
 今回の科学観測隊は281人の隊員によって構成され、2015年4月10日頃に上海市に帰港する予定だ。総航行距離は3万海里に達し、任務期間は約163日。
 中国国家海洋局極地観測弁公室室長の曲探宙氏によると、今回の科学観測には4つの見所がある。(1)第29次極地科学観測隊が崑崙基地で実施した氷床深層コアの試験的な堀削を踏まえた上で、正式に氷床深層コアの堀削および天文観測などの科学調査を実施する。(2)ロス海で初の地質調査、地球物理調査などを実施する。(3)極地科学観測において、ロボットなどの新技術を研究・運用する。(4)国際協力の場を利用し、極地科学観測・研究を実施し、中国の極地科学観測活動を国際的な極地科学観測活動と融合させる。他にも今回の科学観測では第29次・30次南極科学観測隊がプリッツ湾沖に投入した4組の観測ブイと6組の海底地震計を回収する。
 今回の観測活動において、中国は初めて南極に衛星測位システム「北斗」の基地局を建設し、受信機および補助設備の調整と取り付けを行い、関連データを入手する。基地局を基礎とし、2台の北斗システムデータ受信機を使用し、長城基地付近のGNSS(全地球航法衛星システム)の地上制御地点の試験を実施する。
 中国が南極で北斗システムを使い関連データを取得するのはこれが初めてだ。南極における北斗衛星データの処理、マルチ衛星ナビゲーション座標の隙間なき連結、異なる基準・枠組みの整合性などの重要問題の解決に取り組み、中国独自の衛星測位システムの応用、南極における北斗測量基準の制定にデータと技術面の支援を提供する。

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