2014年12月15日-12月19日
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中国科学院、H7N9のヒト感染のメカニズムを解明

2014年12月16日

 家禽はH7N9(鳥インフルエンザ)ウイルスに感染後、明らかな臨床症状を示さないが、ヒトの感染後の致死率は38.6%に達する。中国科学院微生物研究所の研究者はこのほど、遺伝子レベルからH7N9亜型鳥インフルエンザウイルスのヒト感染のメカニズムを明らかにした。関連する研究成果はこのほど、国際的な学術誌「Virology Journal」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。
 中国では2013年3月に初めてH7N9亜型鳥インフルエンザウイルスが確認された。これは典型的な低病原性鳥インフルエンザウイルスだ。同ウイルスに感染した家禽は明らかな臨床症状を示さず、ウイルスは家禽の呼吸器内で限定的に増殖できる。しかしこの新型ウイルスはヒトに対して高い病原性を持つ。世界保健機関(WHO)の統計データによると、現在までに453人の感染例があり、うち死亡者が38.6%の175人に達している。低病原性鳥インフルエンザウイルスが、ヒトに対してこれほど高い病原性を示すのはこれが初めてだ。その発症のメカニズムは、各国の科学者の注目の焦点となっていた。
 中国科学院微生物研究所病原微生物・免疫学重点実験室インフルエンザ研究チームの関連技術プラットフォームの責任者、論文の筆頭著者の畢玉海氏はこのほど、「研究結果によると、H7N9のPB2、NP、M遺伝子が哺乳類への病原性を決めることが分かる。この3つの内部遺伝子と、ウイルス表面のヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が、ウイルスのヒト細胞への感染力を決める。家禽から哺乳類にH7N9が感染してから4日後、宿主の適応性の重要なポイントで突然変異が生じる。これによりウイルスは家禽から哺乳類への種を跨ぐ感染を急速に実現し、哺乳類に対する毒性を強化し、宿主を死亡させる」と説明した。
 専門家は、「この研究はH7N9の哺乳類に感染する分子的メカニズムを解明し、鳥インフルエンザウイルスの特効薬とワクチンの開発、感染予防の基礎を固めた」と指摘した。

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