2014年12月22日-12月26日
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中型ロケット「長征7号」、2016年に初打ち上げを実現へ

2014年12月25日

 カウル、ロケット、ブースターなどの大型モジュールが、天津次世代ロケット産業化基地の工場内に静かに横たわっている。これらのモジュールは近い将来、大型ロケット「長征5号」、中型ロケット「長征7号」に組み立てられ、輸送船により目的地の海南文昌衛星発射センターに送られることになる。「メイド・イン・天津」の次世代輸送ロケット「長征7号」は、2016年に初打ち上げを実現する。人民日報が伝えた。
◆次世代大型ロケットの製造
 大型ロケットはなぜ大型と呼ばれるのだろうか?これはサイズが大きい他に、大きな能力を持つためだ。長征5号の開発成功後、中国製ロケットの低軌道への打ち上げ能力は9トンから25トンに、静止トランスファ軌道への打ち上げ能力は5.5トンから14トンに、対地同期軌道への打ち上げ能力は現在の約2.5倍に拡大する。長征5号と比べ、やや細めの中型ロケット「長征7号」も、低軌道への打ち上げ能力が13.5トンに、太陽同期軌道が5.5トンに達し、かつ開発案は貨物輸送と乗員輸送を兼ね備えている。
中国キャリアロケット技術研究所所属の天津航天長征ロケット製造有限公司の陶鋼総経理は、「ロケットの打ち上げ能力が大きければ大きいほど、宇宙開発事業の可能性も大きくなる。長征5号と長征7号は中国のすべての軌道上への打ち上げを実現し、次世代ロケットの主力になる」と述べた。
◆次世代ロケット、技術・設計などの見所
 ロケットの直径が5メートルに達した。これは一般人が見れば太くなっただけに過ぎないが、宇宙技術専門家にとっては、技術・設計・製造技術の新たな認識と、かつてない課題を意味している。
 長征5号は中国で規模が最大で、最高の技術力を持つ打ち上げロケットで、中国が初めて全体からシステムに至るまで最新技術を採用した大型液体燃料ロケットだ。長征7号の開発も、96件のコア技術を把握した。
 構造の設計と製造技術にも多くの新たな見所がある。長征5号ロケット構造チーフデザイナーの欒宇氏は、組み立て工場内の直径5.2メートルのカウルを指さし、「これは長征5号の国内最大規模のカウルで、ロケットの打ち上げ能力を拡大する」と説明した。
 次世代ロケットは、設計手段の変化をもたらした。長征7号ロケット総体チーフデザイナーの馬忠輝氏は、「設計から生産に至る全3Dデジタルプラットフォームに挑戦し、新型ロケットの開発のより正確でリアルな設計・試験環境を整えた」と語った。
 次世代ロケットの開発は、材料の革新を起こした。陶氏は、「多くの新材料に対する認識を深めた。小麦粉に例えると、ただこねるだけでなく、どのようにこねれば美味しくなるかを知る必要があるようなものだ」と述べた。

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