2015年01月12日-01月16日
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1万ワット級対空防衛レーザー、5秒内にターゲットを撃墜

2015年01月22日

 中国による1万ワット級対空防衛レーザーシステム「低空衛士」の開発成功は、1月19日に2014年度国防科技工業10大ニュースに選ばれた。同システムが2014年11月に正式に報じられると、国内外からかつて無いほどの注目が集まった。同システムの開発部門である中国久遠ハイテク装備公司党委員会書記の馬寅国氏は受賞日に、この防衛装備の真の姿を明らかにした。環球時報が伝えた。
◆不可視光線でターゲットを撃墜
 馬氏によると、同システムの登場は、レーザー技術の中国安全保障分野での応用が、重大な進展を実現したことを意味する。同システムはまた、中国の民間ハイテク安保分野の重要な成果でもある。近年小型機が急速に発展しており、犯罪者による不法行為の可能性が高まっている。これは重要エリア、重大活動エリアの安全保障にとって、現実的な脅威となっている。これまでの場合は、主に狙撃手や速射砲により迎撃するか、ヘリを使い空で取り締まる必要があった。しかしこれらの手段は成功率が低く、かつ地上の人々に被害をもたらす可能性もある。
 同システムは「低空・低速・小型」の航空機による不法侵入への対策を目的に開発された。同システムは5秒内にターゲットを撃墜することが可能で、地上に被害が発生することもない。同システムはその後、次のターゲットの追跡と攻撃に切り替えることができる。同システムの射程距離は2キロ以上で、システム1基の防衛面積は12平方キロメートルに達する。同システムはすでに多くの試験とデモンストレーションに成功しており、固定翼機、マルチローター機、ヘリコプターなど典型的な小型機を30数回撃墜しており、成功率が100%に達している。
 同システムが使用するレーザーは不可視光線で、実際に操作する場合はレーザーが放出されたのを肉眼で確認できない。傍観者から見れば、無人機が飛行中に突如発火し、墜落したように見える。
◆今後は小型化・自動化
 馬氏によると、同システムは現在も改良が続けられている。同システムは主にコンテナ大の2つの箱によって構築されているが、今後はすべてのシステムが1つの箱の中に収まるようになる。同システムはモジュール化、固定型・車載型に向かい発展することで、配備の機動性と自動化水準を大幅に高める。同社はさらに高射程かつ強力なシステムの開発に取り組んでいる。今後は単独・複数配備により、スマート化とネットワーク化を実現し、都市部の広い範囲や重要エリアに空の防御を提供し、国家の低空開放空域の安全を保障する。

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