2015年04月01日-04月03日
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中国科学技術大学、量子機械学習アルゴリズムを実現

2015年04月01日

 中国科学技術大学の潘建偉教授が率いる研究チームはこのほど、世界で初めて量子機械学習アルゴリズムを実現した。これは量子計算をビッグデータ解析と人工知能に応用した、画期的な実験だ。
 同成果はこのほど、世界的に権威ある物理学専門誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。編集員はこの研究について、「非常に先進的で、興味深い」「量子機械学習という重要かつ興味深いテーマで一歩目を踏み出した」と評価した。
 欧米の主要先進国の政府とハイテク企業は、研究力と資源を積極的に統合し、量子情報技術の応用で機先を制しようとしている。米マサチューセッツ工科大学のセス・ロイド教授は2013年に、「量子システムの高次元ベクトル解析の並行計算の優位を利用し、機械学習の指数・量的な加速を実現することで、通常のコンピュータの演算速度を大幅に上回ることが可能」という理論を発表した。演算速度が世界一のスパコン「天河2号」は、2億京次元ベクトルの距離を計算するのに数年の時間を要するが、1000兆ヘルツのクロック周波数を持つ量子計算機ならば1秒以内に計算を終えられる。
 潘教授のチームは近年、光量子計算の系統的・戦略的な研究を進め、一連の画期的な成果を手にした。同チームはこのほど、世界に先駆けて光量子計算物理研究プラットフォームを発展させ、世界で初めて量子ビットに基づく機械学習アルゴリズムの実演に成功した。同アルゴリズムは、量子論理演算を使い高次元量子状態と補助的量子ビット間のもつれを作る。この量子もつれの特性がもたらす並行計算の優位を利用し、ベクトル間の距離といった重要な情報を短時間内に得ることができる。

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