2015年04月01日-04月03日
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北京原人、火を使用した新たな証拠が発見

2015年04月03日

 中国考古学界、日本中国考古学会が主催し、北京大学考古文博学院と北京大学中国考古学研究センターが開催した「中国考古学研究中日フォーラム」がこのほど行われ、中国・日本の26人の学者が最新の研究成果を発表した。人民日報が伝えた。
 周知の通り、火の適切な使用は、人類の生存と進化にとって極めて重要だった。考古学者の裴文中氏は1929年に、周口店の北京原人遺跡で灰燼や焼けた骨・石などの火を使用したと思われる証拠を見つけていた。しかし西側諸国の学者は、この関連する証拠を疑問視した。国内外の学者は20世紀末に同遺跡で系統的なサンプル収集を行い、第10層・第4層の少数のサンプルに対して新たな化学・赤外線分析を行った。ところが灰燼や残留した木炭が見つからず、かつ燃焼によって生まれる十分な量の微化石(プラント・オパール)およびカリウム元素が見つからなかったことで、同遺跡で火が使われた証拠はないとされた。
 周口店の北京原人は、本当に火を使っていなかったのだろうか?裴文中氏ら考古学者が導き出した結論は、間違っていたのだろうか?高星研究員が所属する中国科学院古脊椎動物・古人類研究所は、2009年より中国安全生産研究院燃焼実験室と同遺跡の新たな発掘を行い、再びその答えを導き出そうとしている。
 高研究員らは、第4層・第6層の灰燼のサンプルに対して一連の物理化学処理を施し純化した後、走査電子顕微鏡とX線回折計を使い元素の構成と物質の成分を調べた。サンプル内には、燃焼によって形成された密集した石炭、カリウム、微化石などの元素が含まれていたため、この2層で火が使われたことが証明された。さらに火が使われていたと思われる場所の磁気感受率が同じ層のその他の部分を上回り、赤みも強かった。他にも火が使われていたと思われる場所から、摂氏700度の高温信号が確認された。新たな発掘と分析により、同遺跡の第4層には現地の北京原人が火を使った現場と、確かな証拠が残されていることが明らかになった。

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