2015年04月06日-04月10日
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北斗システム、測位精度でGPSを猛追

2015年04月09日

 中国の研究者は2011−2012年の南極科学観測において、北斗衛星測位システムとGPSの4つの周波数に対応する受信機を使い、それぞれの測位効果を比較分析した。その実測値によると、中国の北斗システムは信号の質で、GPSとほぼ肩を並べた。新華社が伝えた。
 武漢大学測絵(測量・製図)学院、中国南極測絵研究センターの杜玉軍氏、王沢民氏ら研究者は、2011−2012年の中国第28次南極科学観測中に、広い範囲(北は天津市、南は南極内陸部の崑崙基地まで)で北斗・GPSの連続的な実測データを集めた。また中国が南極に設置した中山基地の静的観測データを取得したほか、異なる地域の静的測位効果を比較分析するため、武漢市でも静的観測を行った。
 研究者は厳格な比較研究方法を採用し、S/N比、多ルート、可視衛星数、DOP、測位精度などの多方面から、北斗・GPSの航路上の異なる地域、特に遠洋および南極の異なる運動状態における測位効果を比較分析した。
 その結果によると、北斗システムは信号の質で、GPSとほぼ肩を並べた。45度以内の低中緯度の地域では、北斗の動的測位精度はGPSに匹敵し、水平方向10メートル、垂直方向20メートルほどとなった。北斗システムの静的測位精度(水平方向)はメートル級で、GPSに匹敵する。垂直方向は10メートルほどで、GPSよりやや劣る。一方、中高緯度の地域では北斗の可視衛星数が少なく、衛星の分布状況が劣るため、測位精度が劣るか測位が不可能だった。
 武漢大学中国南極測絵研究センター副センター長の王沢民教授は、「北斗は現段階で地域測位を実現しているが、全地球測位能力を持たない。北斗とGPSの測位効果の差は、主に衛星の数と分布状況によるものだ。中国は先月、次世代北斗衛星の打ち上げに成功した。北斗システムの軌道上を運行中の衛星数は、17基に達した。北斗システムのグローバルネットワークの構築が進むにつれ、今後の実測値はさらに優れたものとなるだろう」と説明した。

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