2015年04月27日-04月30日
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1億6000万年前の恐竜、飛膜の存在が明らかに

2015年04月30日

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の徐星研究員と臨沂大学の鄭暁廷教授が率いる研究チームが、山東天宇自然博物館に収蔵されている恐竜の化石を分析した結果、この1億6000年前に生息していた小型の恐竜が、コウモリのような飛膜の翼を持っていたことが明らかになった。研究者はこの恐竜を「奇翼竜」と名づけた。研究成果は4月30日にネイチャー(電子版)に掲載された。光明日報が伝えた。
 徐氏によると、奇翼竜はジュラ紀中期に生息した、スカンソリオプテリクスの一種だ。奇翼竜の最も変わった構造は、腕にある棒の形をした骨だ。このような構造が別の恐竜から見つかったことはないが、コウモリ、翼竜、ムササビといった空をとぶ飛行動物の、腕、肘、くるぶし付近に見つかったことがある。研究者が比較・対照したところ、奇翼竜の腕の棒状の構造が、日本のムササビの構造に似ていることを突き止めた。これらの動物にある棒状の構造は飛膜を支え、飛行や滑空に用いられている。
 しかし奇翼竜が生息していた年代において、奇翼竜は高い競争力を持つ飛行者ではなかった。その空中での生活は木と木の間の短距離飛行、もしくは高い所から地上への滑空に限られていたようだ。研究者は、奇翼竜は滑空を中心とし、時に羽ばたきしていたと推測している。
 奇翼竜の発見は、飛膜の収斂進化に絶好の実証をもたらした。これは恐竜の形状の差、鳥類の飛行の起源の研究に対して、重要な意義を持つ。鄭氏は、「奇翼竜は鳥類の飛行の進化の過程における先駆けだ。奇翼竜は我々に対して、飛行の進化の早期には革新的な試みが満ちていたが、多くの支流が進化の袋小路に陥り、現在まで飛行をとどめているのは鳥類のみであることを教えてくれる」と語った。

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