かつて米アップル社のスマートフォン「iPhone」のイメージ図の中で登場したフレームレスデザインが、今や国内の携帯電話メーカーの手を経て現実のものになり、メーカーにとって最新の「武器弾薬」になっている。このほど楽視網のスマホ「楽1 Pro」が大画面フレームレスデザインを大々的にうち出すと、努比亜の新主力機種「A9」もOPPOがまもなく発売する「R7」もフレームレスをうち出した。主な携帯電話メーカーのほとんどがフレームレスの流れに乗っており、今年9~10月の一大商戦の時期には、フレームレスがスマホの新しい標準装備になることが予想される。「北京商報」が伝えた。
中興努比亜がこのほどうち出した「Z9」の旗艦機種には、aRC屈折伝導ディスプレー技術が採用され、液晶ディスプレーの枠部分を視覚的に隠しており、利用者はこれまでのように黒い枠を気にする必要がなくなった。
同社だけではない。OPPOも5月20日にフレームレスのスマホ「R7」を発売し、これに先だってフレームレスデザインの特許出願の証明書も公表した。
また奇虎360の専門家の周鴻禕さんは新しい携帯電話ブランドの発表会で、「奇酷ブランドの携帯にフレームレスデザインを採用する可能性がある」と明かした。
インターネット調査会社の艾媒諮詢の張毅最高経営責任者(CEO)は、「現在、フレームレスが大人気で、国内で上位10位に並ぶ主要メーカーのほとんどが密かにフレームレスに取り組み、流れに追いつこうとしている。技術的なハードルはそれほど高くなく、技術障壁もほぼ存在しない。今年9~10月の一大商戦の時期には、フレームレスディスプレーが標準装備になるだろう」と話す。
フレームレスが人気を集める背景には、携帯電話のパラメーターが多くなりすぎたことがあるのは明らかだ。つまり、スマホの性能が成熟して、主要メーカーの技術水準にほとんど差がなくなったということだ。
国内メーカーの関係者は、「携帯メーカーはハードウエアのパラメーターをめぐる戦いに意気盛んに乗り出し、次々と戦いに挑んでいる。かつてのディスプレーのサイズ、CPUのスペック、カメラの画素数、どんな材質で作られているかといった戦いから、ここ2年ほどは2Kの高精細ディスプレー、カメラの美顔機能、近距離無線通信技術(NFC)、指紋認証などをめぐる戦いに移行した。スマホはますます同質化が進み、メーカーはハードウエアの細かな違いを掘り下げ、話題を作って注目を集めるというやり方をせざるを得なくなっている」と指摘する。
こうした状況の中、市場には細分化されたユーザー、細分化された分野をターゲットにしたさまざまな製品が出回り、セキュリティ携帯、カメラ携帯、動画携帯、音声コントロール携帯などが登場している。ここには差別化を求めるメーカーのせっぱ詰まった気持ちや、同質化が進む市場で独自路線を確立したいという思いがよく現れている。
注目に値するのは、2~3年前に比べ、国内メーカーと海外ブランドが対峙していた局面が、今では中国での争いに、すなわち国内メーカー同士の争いに変わってきたということだ。だが国内のスマホの発展状況をみると、どこかのメーカーが差別化の旗を掲げると、他のメーカーがすぐに追随する。小さな差別化のポイントはすぐに模倣されるため、持続的なコア競争力を形成することは難しい。
在野の電気通信アナリストの付亮さんは、「未来のスマホは多元化、オーダーメード化、個性化の方向へと発展し、スマホの市場全体のハードルはさらに低くなる。短期的な競争のポイントが製品の標準装備になって競争が終わる、ということが往々にして起こるだろう」と予想する。