2015年07月20日-07月24日
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中国科学院、インフルエンザの新たな抗体を発見

2015年07月23日

 中国科学院微生物研究所が発表した情報によると、中国科学院院士、同研究所研究員の高福氏が率いる研究チームは韓国の科学者と協力し、新たなヒトの抗体を発見した。マウスを使った研究では、この抗体はマウスの体内に含まれる、多くの亜型インフルエンザウイルスの感染性を中和することができた。この抗体とウイルスの結合方法は非常に珍しく、より効果的なワクチンの開発に利用できる可能性がある。この研究成果は、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。中国科学報が伝えた。
 3種のインフルエンザのうち、A型の症状が最も深刻で、最も多くの宿主を持つ。インフルエンザウイルスの抗体とウイルスの結合を理解すれば、ウイルスの特定の部分に的を絞った対抗が可能になる。
 高氏ら研究者は、2009年に流行したH1N1に感染し回復した患者の免疫細胞を研究し、ウイルスに強い抵抗力を持つ抗体を分離した。この抗体は複数の亜型インフルエンザウイルスと結合し、感染しやすい細胞への感染を防ぐ。研究者がA型インフルエンザに感染したマウスにこの抗体を使用したところ、抗体はH1N1、H3N2、H5N1による発症と死亡を防いだ。研究結果によると、この抗体は最近発生した、ヒトに感染するH7N9ウイルスの感染性をも中和することができる。
 科学者は研究と分析により、一つの抗体がヘマグルチニンの二つの単体と連結し、力を発揮することを明らかにした。高氏は、「この抗体のウイルスに対する効果は、新たな治療法の模索を促す可能性がある」と話した。

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