2015年08月10日-08月14日
トップ  > 科学技術ニュース>  2015年08月10日-08月14日 >  中国人科学者、脳の発育の競争メカニズムを解明

中国人科学者、脳の発育の競争メカニズムを解明

2015年08月12日

 中国科学院上海生命科学研究院神経研究所の于翔氏が率いる研究チームは、人の幼年時代から青少年時代にかけて、脳の感覚野と運動野の神経網の発達剪定に競争の原則があることを発見した。すなわち、勝者がより多くの資源を獲得し、敗者は剪定もしくは消滅の罰を受ける。この発達剪定の過程は、外部の感覚的刺激に影響を受ける。ゆえにこの時期に十分な感覚的刺激を受け運動を行うことは、ダンス、サッカー、ピアノなどの感覚・運動類の脳機能の開発にとって非常に重要だ。関連する研究成果は7日、世界トップクラスの学術誌「セル」(電子版)に掲載された。新華網が伝えた。
 于氏の研究チームは、青春期の神経回路の正確化の過程において、重要かつ限り有る分子資源が存在することを発見した。この希少な「宝物」を巡り、神経細胞の樹状突起スパインが熾烈な競争を展開する。ある樹状突起スパインが有利になると、この限り有る分子資源が勝者の周辺で蓄積される。敗者は剪定される運命をたどるしかない。
 于氏は、「脳の潜在能力開発」は、脳の発育の自然な法則を守るべきだと提案した。ヒトの大脳皮質の感覚・運動を司る部分の「敏感な時期」は、発育の早期に当たる。幼年時代と青少年時代に感覚と運動の刺激を適度に増やすことは、関連する能力の開発を促す。記憶・思考・感情など高い認知機能を司る部分、例えば前頭前皮質や海馬体の可塑性は長期間維持されるため、その関連する能力の育成を急ぐことはできない。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます