2015年09月07日-09月11日
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チベットの50年の発展、発電技術で夜空を明るく

2015年09月11日

 記者が8月上旬に西蔵(チベット)自治区拉薩(ラサ)を取材した際、宿泊先のホテルの近くにシンプルなデザインの白い建物があった。これは竣工したばかりのチベット自然科学博物館だ。中国初の太陽光発電建築物で、1MWの電力が直接送電されている。電力設備の整備と、水力・太陽光・風力・熱の利用により、チベットの夜空はますます明るくなってきた。科技日報が伝えた。
 チベットは石炭と石油資源が極めて少なく、交通が不便であるため、火力発電の条件が整っていない。しかし水力発電の資源量は全国一だ。ラサは早くから水力発電を利用してきた。1928年、中国で2カ所目となる水力発電所がラサに建設され、1956年以降は、水力発電所と火力発電所が続々と建設された。1980年代よりチベットの発電所建設が加速され、羊八井地熱発電所、羊卓雍錯(ヤムドク湖)水力発電所などが建設された。
 記者が山南地区を訪れたところ、藏木水力発電所が雅江を利用し発電を行っていた。その発電量は、旁多水利センターと同等だった。雅魯蔵布(ヤルツァンポ)川の支流と本流には、建設中のダムがあった。チベットの水力発電の開発が目に見えて加速されている。
 チベットは太陽エネルギーも豊富で、自治区全体で40万基以上の太陽焦熱炉があり、都市部の建築物では太陽光を利用した給湯装置が普及している。太陽エネルギーを電力に変える取り組みも進んでいる。「日光の城」と呼ばれるラサで、コンパクトカーのルーフと同じサイズのソーラーパネルがあれば、1日の発電により冷蔵庫を1時間稼働させることができる。中国移動(チャイナ・モバイル)はチベットに1000以上の基地局を設置しており、そのうち8割弱が太陽エネルギーで稼働している。チョモランマ地区の太陽光基地局・ネットワークは、最高で標高6500メートルの地点に設置されている。チョモランマ登頂の際に、電波が途切れることがないのも、太陽光発電のおかげだ。

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