2015年10月01日-10月02日
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黄海北部の沈没船「丹東1号」、水中調査の3大発見

2015年10月09日

 大量の文化財が水揚げされたことによって、黄海北部の海底の沈没船「丹東1号」と、121年前の甲午戦争(日清戦争)における海戦との密接な関係が明らかになった。水中調査を終えたばかりの考古学者は8日、調査の3大発見を発表した。新華網が伝えた。
◆発見1 丹東1号、北洋艦隊の「致遠艦」であることが判明
 国家文物局水中文化遺産保護センター副研究員、丹東1号沈没船考古調査チーム長の周春水氏は取材に対し、「詳細な考古調査と実物・証拠により、同船は北洋艦隊の『致遠艦』であると初歩的に判断された」と語った。
 考古学者によると、致遠艦と初歩的に判断できる最も直接的な証拠は、3枚の磁器だ。そのうち2枚の磁器には篆体で「致遠」の2文字が記されており、残りの1枚の破片には篆体で「致」と記されていた。
 周氏は、「現時点では、丹東1号の船体は水平装甲から下の部分しか残されていないが、当時の戦艦の原型をうかがい知ることができる」と述べた。
◆発見2 120点以上の文化財が引き揚げ、豊富な歴史情報を含む
 国家文物局水中遺産保護センターは2015年8月、遼寧省文物考古研究所と共に、沈没船の重点的な調査と引き揚げ作業を開始した。67日間のうちに、60種・120点以上の文化財、60数枚の銅銭が見つかった。これには船の部品、武器、個人の所持品が含まれる。
 周氏は、「ベルト、靴底、くしなどの品物も見つかった。いずれも保存状態が悪く、その持ち主を判断することができないが、120年後に再び日の目を見るとは並々ならぬことだ」と語った。
◆発見3 印鑑の持ち主は艦長か
 「雲中白鶴」と刻まれた印章が沈没船から引き揚げられ、人々の注目を集めた。これを致遠艦の艦長だった鄧世昌の所持品とする説もある。
 周氏は取材に対して、「この印章が鄧世昌の所持品であったかは、現時点では特定できない。その持ち主を特定するためには、慎重な確認作業が必要だ」と述べた。
 広東文物考古研究所水中考古研究センター研究員の崔勇氏は、「致遠艦の船員は素養が高く、多くが留学経験を持っていたため、その他の兵士の印章だった可能性も否定できない」と分析した。
 一部の専門家は、致遠艦は重大な歴史的意義を担っており、その勇敢な不撓不屈の精神には、人々が崇敬し銘記する価値があると指摘した。船体を引き揚げることができれば、当時の歴史をより良く復元し、後世の人々に向け警鐘を鳴らすことができる。

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