2015年11月16日-11月20日
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保存状態が良好な海昏侯墓、盗掘を免れられた理由は?

2015年11月19日

 江西省南昌市で、盗掘用の穴の発見により、保存状態が史上最も良好な前漢列侯墓園・海昏侯墓が見つかった。5年間の発掘調査を経て、墓園、陵墓、都の遺跡といった最も豊富な中身を持つ漢代の侯国集合遺跡が、人々の前に姿を現した。山西晩報が伝えた。
 発掘専門家チーム長、中国秦漢考古学会会長の信立祥氏は、「これは秦・漢の考古学の歴史上、重大な発見で、世界文化遺産の登録申請の基本的な条件を備えており、重大な展示・利用の価値を持つ」と話した。
 考古学者によると、同墓は地下の「豪邸」と言っても大げさではなく、機能がはっきり分かれているという。北回廊は衣笥(着物を入れる箱)庫、金庫、食料庫、楽器庫、酒器庫に、西回廊は武器庫、書庫、娯楽用品庫、東回廊は調理器具庫、南回廊甬道両側は車馬庫、甬道は楽車庫に分かれている。また各機能エリアから遣策(副葬品を記録するリスト)と呼ばれる、文字が書かれた木の板、さまざまな形をした青銅灯が見つかった。これは海昏侯が裕福で、学識もあったことを示している。
 古文書によると、東晋の時代に江西で大地震が発生し、この海昏侯墓の自然の防護壁を形成した。西暦318年に豫章郡で発生した大地震により、海昏など豫章郡の県が鄱陽湖に沈んだ。海昏侯墓の墓室が崩れ、地下水に埋もれた。当時の人々が水中の墓を荒らす条件を備えていなかったことから、墓は盗掘を免れた。

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