2015年11月30日-11月30日
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中国人研究者、ヤモリの「壁を這う遺伝子」を特定

2015年11月30日

 南通大学(江蘇省)の顧暁松氏が率いる研究チームは、華大基因(遺伝子)科技有限公司、中国科学院成都生物研究所、浙江大学沃森ゲノミクス研究院と協力し、ヤモリのゲノム解読を完了した。これは現時点で最大規模の爬虫類ゲノム解読で、ヤモリの適応性の進化と生物的特徴の解析に基礎データを提供した。研究成果は11月25日、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。
 ヤモリなどの爬虫類は3億年の適応性変化を経ており、形態・生理上もっとも多様性に富む四足動物だ。科学者は、ヤモリが垂直のガラスの表面を高速移動できるのは、足の裏に数百万本の極めて細い毛が生えているためであることを突き止めていた。これらの毛の先端は、さらに細かく枝分かれしている。この非常にきめ細やかな構造により、毛と物体表面の分子間の距離が非常に狭まり、分子間力が生まれる。
 顧氏が率いる研究チームはオスのヤモリの全ゲノム解読を実施し、25億5000万対の塩基の全ゲノム配列を獲得した。研究チームはそのうち、2万2487個の遺伝子の位置と機能を明らかにした。研究者は、ケラチン遺伝子ファミリーの規模の拡大は、ヤモリの粘着性を持つ毛との間に関連性を持つことを発見した。ヤモリはこの毛のおかげで獲物を捕まえ、つるつるした物体の表面に粘着することができる。研究チームはまた、その尻尾の再生と関連する遺伝子の進化について分析し、かつヤモリを昼行性から夜行性にした特定遺伝子を明らかにした。これらの遺伝子は、オプシン遺伝子と呼ばれる。
 研究者は、「この研究はヤモリの進化の歴史を深く理解し、表面粘着技術を発展させる一助になる。また切断された四肢の再生医学の関連研究に対しても重要な意義を持つ」と説明した。

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