2015年12月21日-12月25日
トップ  > 科学技術ニュース>  2015年12月21日-12月25日 >  前漢海昏侯墓、文化財が「ハイテク住宅」にお引越し

前漢海昏侯墓、文化財が「ハイテク住宅」にお引越し

2015年12月24日

 江西省南昌市にある前漢・海昏侯墓の主棺を巡る発掘調査が、12月22日も続けられた。全国各地の約40人の考古学専門家が同日、発掘現場に集まった。出土した大量の文化財、一流の発掘保護水準を目の当たりにした専門家らは、同墓の発掘調査は現在の中国考古学の最先端だと驚いた。中国江西網が伝えた。
◆文化財は100箱分
 鮮やかな色彩の馬車、活き活きした馬の像、数十振りの剣、さまざまな木製の漆器――記者は同日午後、専門家チームと共に前漢海昏侯墓西側の文化財保護センターに入った。この敷地面積約4000平方メートルの保護センターでは、運び込まれた100箱分の文化財の保護と整理が行われている。
 現場の科学者はここですべての文化財の緊急保護・修復記録を作成し、そのサイズ、重さ、保存状態などの重要な情報を調べてから、保護と処理を行う。青銅器よりも脆弱な竹製・木製の漆器の保護はより困難だ。作業員は出土した竹と木の札や木製の漆器に対して、水飽和、日よけ、防カビなどの処理を施し、微生物の増殖を防いでいる。
 発掘専門家チーム長の信立祥氏は、「出土した金メッキの器物、木製の漆器、青銅器は緊急保護が必要だ。緊急保護を終えた後、これらの文化財を同センターの実験室に送り、より複雑で専門的な保護を行う」と述べた。
◆木製漆器を真水で保存
 同センター両側の倉庫では、水飽和処理を終えた多くの木製漆器が、真水の中に保存されていた。文化財保護チーム長の管理氏によると、墓の文化財は水に浸された状態で発見されたため、当時の埋蔵環境をできる限り復元する必要がある。
 記者は専門家チームに従い、同センターでこれまでに出土している馬車、馬の像、数十振りの剣を目にした。信氏は、「馬車の整理は上手くいっており、主な色彩が呈されている。数十振りの剣は非常に特徴的で、玉製の剣のほかに、戦国時代の青銅剣がある。これは墓の主が生前コレクションを好んだことを示しており、これまでも先秦時代の文化財が何度か見つかっている」と話した。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます