2016年02月08日-02月12日
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大亜湾ニュートリノ実験、最も正確なエネルギースペクトルを測定

2016年02月16日

 中国科学院高エネルギー物理研究所が発表した情報によると、大亜湾ニュートリノ実験により、現時点で最も正確な原子炉ニュートリノのエネルギースペクトルが得られた。科技日報が伝えた。
 ニュートリノは原子炉の発電による副産物だ。科学者は1950年代、原子炉近傍から初めてニュートリノを観測した。これまでのニュートリノ実験では通常、原子炉から合計でどれほどのニュートリノが放出されたか(流束)と、エネルギーの異なるニュートリノの比率(エネルギー分布、エネルギースペクトル)を知る必要があった。科学者はさらに原子炉内の複雑な核融合の過程を理解し、計算もしくはその他の間接的な手段によりこれらの数値を見積もる。そのため理論モデルに強く依存することになる。
 大亜湾の実験により、最も正確でモデルに依存しないエネルギースペクトルが導き出され、ニュートリノの流束に対しても新たな測定を行った。科学者は30万以上のニュートリノのデータを分析した。研究により、大半のエネルギー範囲内で、ニュートリノのエネルギーが1%未満というかつてないほどの精度を記録したことが分かった。
 原子炉から得られたニュートリノのエネルギースペクトルには、意外な特徴があった。エネルギーが約5MeVの場合、エネルギーが理論上の数値を10%上回り、基準値の4倍のずれが見られたのだ。大亜湾の報道官、カリフォルニア大学バークレー校・バークレー国立実験室の陸錦標氏は、「この理論と測定の不一致は意外だった。これは現在の計算方法の改善が必要なことを示している」と話した。

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