2016年03月01日-03月04日
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見逃せない、今年の8大科学技術関連ニュース

2016年03月04日

 第13次五カ年計画(2016−20年)の勝利を決めるのは、革新による発展だ。中でも科学技術の革新が、最大の原動力となる。全国両会(全国人民代表大会、全国政治協商会議)の開幕を控え、出席者と科学研究者が2016年の中国8大科学技術関連ニュースを紹介した。科技日報が伝えた。
◆ニュースその1 仮設宇宙実験室「実践10号」が4月に打ち上げ
 中国航天科技集団公司第五研究院総体部が開発を担当する、中国初の微小重力科学実験衛星「実践10号」が、酒泉衛星発射センターに運ばれた。打ち上げは4月を予定。
 実践10号は、何の役に立つのだろうか?この仮設宇宙実験室は、宇宙の微小重力といった特殊環境を利用し、15日間の飛行中に微小重力流体物理、微小重力燃焼、宇宙材料科学、宇宙放射線効果、生物への重力の効果、宇宙生物技術という6大分野の19項目の実験を行う。
 実践10号は、帰還できるのだろうか?もちろん可能だ。実践10号は回収型の衛星で、帰還モジュールは実験サンプルを地球に持ち帰る。
◆ニュースその2 中国宇宙事業60周年
 全国政治協商会議委員、中国航天科技集団中国キャリアロケット技術研究院元党委員会書記の梁小虹氏は、2009年の全国両会で「中国宇宙の日」の設立を提案した。梁氏は、「中国宇宙の日は、中国宇宙事業の成果を示し、中国を宇宙大国から宇宙強国に邁進させる重要な意義を持つ」と話した。

 また、60周年記念大会、中国宇宙事業60周年重大ニュース、中国宇宙事業により「一帯一路」(1ベルト、1ロード)を推進するフォーラムなどが計画されている。
◆ニュースその3 長征ロケットの3世代が集結
 今年は次世代中・大型ロケット、固体燃料ロケットの、長征5号、長征7号、長征11号が登場する。「大先輩」の長征2号丙、「壮年期」を迎える長征3号甲、長征2号Fも登場する。
 梁氏は、「長征5号は初打ち上げ前の実戦訓練を完了しており、長征7号は総組立中だ。この2人の兄弟は、今年9月と6月の初打ち上げを予定している。第五研究院が研究中・就役中の全6種のロケットは、14回の打ち上げ任務を遂行する。3世代が集結することになり、わが国の宇宙事業の歴史としては初のケースだ」と説明した。
◆ニュースその4 天宮2号、神舟11号が下半期に打ち上げ
 宇宙実験室「天宮2号」が、今年第3四半期に打ち上げられる。有人宇宙船「神舟11号」は2人の宇宙飛行士を乗せ、天宮2号とドッキングし、宇宙に30日間滞在する。神舟11号とのドッキングと宇宙科学実験を完了後、天宮2号は2017年上半期に補給船「天舟1号」とのドッキングと物資補給技術を検証する。
 計画によると、中国は2020年頃に宇宙ステーションを建設する。中国有人宇宙飛行プロジェクトは、新たな発展段階に入る。
◆ニュースその5 量子プロジェクトが展開

 世界初の量子科学実験衛星は、ペイロードとプラットフォームの開発を完了しており、現在は衛星全体の試験を行っている。量子通信ネットワーク「京滬幹線」は、1554キロの主幹線光ケーブル調査・改造を完了し、2期現場の建設に移ろうとしている。全国政治協商会議委員、中国科技大学常務副学長の潘建偉氏のチームが担当する、2大量子プロジェクトが順調に進められており、今年中に建設を終える予定だ。
 潘氏は、「この2件の取り組みを終えれば、天地一体化の量子通信ネットワークの雛形が形成され、技術上の実行可能性が検証されたことになる」と指摘した。
◆ニュースその6 国産大型機C919が飛行
 C919という名称は、何を意味しているのだろうか?Cは中国(China)と、中国商用飛機有限責任公司(COMAC)の頭文字だ。1つ目の9は「天長地久」(天や地のようにいつまでも変わらない)の「久」と同じ発音で、次の19は中国初の大型機の最大乗員数の190座席を意味する。C919チーフデザイナーの呉光輝氏によると、C919に続く次の型番はC929となる可能性がある。これは最大乗員数の290座席を意味する。
◆ニュースその7 地球観測衛星「高分」ファミリーに新メンバー加入
 中国の地球観測衛星「高分」シリーズに、新たなメンバーが加わる。これは分解能1メートル以下、24時間・全天候型の地球観測能力を持つ、レーダー搭載の高分3号のことだ。国防科技工業局局長、国家航天局局長の許達哲氏によると、中国は2020年までに、時空融合、24時間・全天候型の、世界を観測する能力を持つ高分解能地球観測システムを形成する。
◆ニュースその8 世界最大口径の電波望遠鏡が竣工
 貴州省黔南プイ族・ミャオ族自治州平塘県の窪地で、世界最大口径の電波望遠鏡、口径500メートル球面電波望遠鏡(FAST)が、9月の竣工を控えている。同望遠鏡は、深宇宙の秘密に迫る。同望遠鏡はより多くの珍しい天体を模索し、パルサーを観測する。宇宙の起源と変化、暗黒物質、暗黒エネルギー、恒星系と銀河系の変化などを観測する。さらに惑星間の通信信号を探し、地球外文明を探索する。

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