2016年03月14日-03月18日
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中国人研究者、ジカ熱予防の新技術を開発

2016年03月15日

 広州中山大学の奚志勇氏が率いるチームが開発した「ボルバキア顕微・胚注入による蚊媒介性の制御技術」は、ジカウイルスを効果的に予防できる。中国新聞網が伝えた。
 ジカウイルスやデング熱ウイルスなどの虫媒介性伝染病には、特効薬も効果的なワクチンもない。そのためウイルスの数を制御することで、人類と接触する機会を減らす「蚊媒介性の制御」が、ジカウイルスやデング熱ウイルスなどの蚊媒介性伝染病の流行を抑える主な手段となっている。
 科学者は2009年、ボルバキアがデング熱ウイルスの蚊の体内における増殖を抑えることを発見した。異なる系統のボルバキアに感染しているオスとメスの昆虫の交配によって生まれた卵が育つことはない。
 奚氏によると、同チームは顕微・胚注入技術を使い、ショウジョウバエ、シマカ、イエカの中からボルバキアを抽出し、これをデング熱ウイルスの媒介性を持つヒトスジシマカの体内に注入することで、安定的な共存関係を形成した。ボルバキアに感染した実験室内のオスの蚊と、自然界のボルバキアに感染していないメスの蚊の交配によって生まれる卵は育たない。実験室内のオスの蚊を大量に放出することで、蚊の数を伝染病の流行に至らない水準まで下げることができる。
 この大規模な数の制御により、種が絶滅することはあるだろうか?奚氏は、これについて次のように述べた。
 「ボルバキアによる蚊媒介性の制御技術」で抽出されるボルバキアは、自然界に存在する菌であり、ターゲットもはっきりしている。伝統的な殺虫剤と比べ、この技術は環境に優しく、その他の昆虫や環境にいかなる影響も及ばさない。また同技術は蚊の数を減らし、蚊と人類の接触を減らすことで、ウイルスの感染を防ぐことができる。これは蚊の絶滅を目的とするものではない。

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