2016年03月21日-03月25日
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海昏侯墓の発掘調査、実験室が大活躍

2016年03月24日

 中国社会科学院考古研究所の王巍所長は23日、インタビューに応じ、「海昏侯墓の発掘・整理作業で導入されている『実験室内での考古調査』は、中国の考古学と文化遺産保護技術の完璧な融合例だ」と述べた。新華社が伝えた。
 王氏によると、「実験室内での考古調査」は屋外の考古発掘現場では整理が困難な、破損しやすい遺跡および遺物(紡績品、漆器、木簡など)を、木製の棺および周辺の土ごと取り出し、安全で技術条件と良好な環境が揃った屋内に移し整理・研究を行う。こうして墓の当時の状態に関する情報を最大限かつ効果的に保存・復元し、文化財の安全保護とできる限り完全な形での発掘を実現する。
 海昏侯墓文化財保護・技術保障責任者を務める、中国社会科学院考古研究所の李存信副研究員によると、今回の海昏侯墓の「実験室内での考古調査」は、3Dスキャン、透過型イメージング技術、赤外線イメージング技術、ラマンスペクトル、顕微鏡分析など10数種類の科学技術の他に、新たな製図ソフト、低酸素作業ルームなど最新の技術と設備を、文物の保護と研究に用いた。これによって、屋外の考古調査では実現不可能な力を発揮している。
 李氏によると、現在は墓から出土した金属器、竹・木製の漆器、玉石・瑠璃・瑪瑙の器、骨器、農作物などの数十種類の品目、数万点の文化財の科学的なデータ分析・整理・保存を行っており、さらなる科学保護・研究・展示に備えている。

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