2016年04月04日-04月08日
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70歳の高齢者が「脱出滑り台」発明、26階から1階まで90秒で移動

2016年04月11日

 26階から1階まで滑り台で降りるのはどんな感覚なのだうか?上海市長寧支路の長寧88金廷団地内では、そんな特殊な滑り台がある。しかしそれは一般的な滑り台ではなく、高層階からの脱出専用の「脱出滑り台」なのである。7日、筆者はこの団地の26階から蛇行して降りる「脱出滑り台」を体験してきた。新聞晨報が伝えた。
 幅約50センチのこの「脱出滑り台」は非常用通路に沿って設置されており、曲がり角を繋ぐ弯曲溝と直線溝の2つの部分で構成されている。普段使用しない時、弯曲溝は天井近くに掛けられており、直線溝は壁に沿って収納されているので非常用通路の使用には支障ない。
 すでに70歳の発明者周妙栄さんは階段の装置を指さしながら、「この装置を作動させると、ドミノ方式による機械の連動によって、弯曲溝が自動的に上から下りてきて、直線溝と合体する」と説明してくれたが、彼が言い終わらないうちに案の定、「ドカン」という音と共に弯曲溝が下りてきた。「現在、少し大きな音がするが、緩衝装置を加えれば、音を小さくすることができる」と、周さんは続ける。
 のちに筆者が滑り台に座り、「両足を揃えて立て、両手を交差して胸の前に置き、身体をリラックスさせて」というスタッフの指導のもと、懸命に姿勢を調整し適切な体勢にすると勢いに乗って滑り始めた、滑り降りる間、曲がり角に来るたびに速度が落ちるような感じがしたが、終始自然に滑走している状態であり、ちょうど子供の頃の滑り台で遊んでいるような感覚である。リラックスして身体を平らにすると、滑走速度が最も速まり、怖いと感じるなら、両足を少し溝に接触させると滑走速度を減速させることができる。
 無事に一階に到着したあと、何度も曲がり角を回ったことで少し目が回った以外には違和感は何もなかった。
 周さんは、「現在、各階の通過時間は3~5秒で設計されており、もし1階を最速の3秒で通過するとして計算すると、30階の高さから1階の地面までたった90秒で到着可能だ。ここの団地の26階の高層住宅からだと、より短い時間で済む可能性もある」と話す。
設計理念
 周さんはどのようにこの「脱出滑り台」を発明したのだろうか?彼は、「自分の家は35階にあり、家には高齢者も子供もいる。従って高層階から自分で脱出することには特に関心を持っている。もし火事などの緊急事態が発生すると、高層階から地面を繋ぐのはエレベーターと階段と外の空間の3つの方法しかない。火事発生時、エレベーターが使用できないとなると、外から脱出するのはリスクが大きい」と語る。
 「90%以上の人が階段で脱出することを選択するが、高層階の階段は段数が多く、逃げる途中に人が殺到し、将棋倒しなど思いがけない事故を招く恐れもある。階段での脱出は疲労など身体に負担が大きすぎ、煙で咽る、水で滑る、人が殺到するなどリスクも大きい。これらの問題を引き起こす大きな要因は『立って脱出』することにある。では、『横になって脱出』するのはどうだろうか?」と考えた。
 発想を転換した彼は視界がぱっと開け、入念な調査、研究に長い年月を費やし、この高層階「脱出滑り台」を発明した。現在、周さんの発明は既に国の特許を獲得したと同時に、PCT国際特許に認定されており、米国、EU、日本、ブラジル、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦において承認されている。

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