2016年05月09日-05月13日
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中国人科学者、海南島の起源を明らかに

2016年05月13日

 中国科学院の科学者は海南島の植物区系の研究により、生物地理学的見地から海南島の起源を初めて明らかにした。海南島は今から約5300万年前の始新世に、ベトナムと広西チワン族自治区を結んでいた。その後南東への移動と旋回を開始し、現在の位置に到達したというのだ。新華社が伝えた。
 同論文の筆頭著者、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園研究員の朱華氏によると、科学者は海南島の既存の植物の種を利用し、海南島周辺のベトナム、および中国の広西チワン族自治区と広東省の植物区系との比較を行うことによって、海南島の植物区系とベトナムの植物区系の類似性が最も高く、次に広西チワン族自治区の植物区系が続くことを明らかにした。比較した植物区系のうち、海南島とベトナムのみが共有するものは110属、海南島と広東省のみが共有するものは7属のみだった。海南島の植物区系のうち、特有属は7属、特有種は約10%のみで、非常に低い特有性が大陸起源の特徴を示している。哺乳類も、植物区系と類似する生物地理学的構造を呈している。
 朱氏は、「現在の海南島の植物区系は、熱帯に分布する科・属が優位を占めている。これはそれが熱帯性の植物区系であり、熱帯アジアの親戚であることを示している」、「その他にも、古植物学と古地磁気学の研究も、海南島が始新世にベトナムや広西チワン族自治区とつながっていたという結論を支持している」と述べた。
 朱氏によると、古植物学の研究は、海南島が始新世に亜熱帯性の植物区系と亜熱帯気候を持ち、今よりも北に位置していたことを明らかにした。海南島で見つかったモミ属とツガ属の化石も、始新世の亜熱帯の特徴を反映している。古地磁気学の研究は、中生代の海南島がベトナムや広西チワン族自治区とつながっており、現在よりも緯度が5−6度高かったことを明らかにした。新生代前期、北部湾の断裂により、海南島は紅河-哀牢山断層系に沿うようにして南東に移動しつつ旋回し、最終的に現在の位置に達した。

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