2016年06月13日-06月17日
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中国の科学技術系学術誌、科学研究水準の向上に遅れを取る

2016年06月15日

 トムソン・ロイターの知的財産権・科学技術事業部は13日、2016年版(最新版)の学術誌評価報告書「JCR」を発表した。同報告書はデータ引用、影響力評価指標、論文引用索引データベース内の数百万の学術誌の引用・非引用データなどの数値化できる統計データを客観的に評価し、学術誌の学術文書における地位を評価したもの。中国科学報が伝えた。
 中国の科学技術系の学術誌の発展状況は注目に値するという。国家自然科学基金委員会雑誌社編集・審査員、科学情報サイト「科学網」のブログ主の任勝利氏は、「中国の学術誌は他国と比べ、目覚ましい進歩を遂げている」と話した。
 任氏は同報告書に基づき、科学網で「2015年度中国SCI学術誌引用指標概況」と題した記事を掲載した。同記事は中国の185種類の科学技術系学術誌の主要指標に基づき格付けを行い、トップ5の学術誌のうち4種類(「細胞研究」「光:科学と応用」「国家科学評論」「分子植物」)は中国科学院発行だった。
 中国科学院が主管する「国家科学評論」のインパクトファクターは8.0。同報告書のデータによると、同誌は世界の60種類以上の総合的科学技術系学術誌のうち5位につけている。1位はネイチャー誌、2位はサイエンス誌。これは中国の科学技術系学術誌の国際的な影響力が、大幅に向上したことを示している。
 しかし専門家は、中国の科学技術系学術誌の進歩を見ると同時に、発展の中に存在する問題についても目を向けるべきだと指摘した。任氏は、「影響力の向上は、学術誌の質の向上と単純にイコールで結ばれるわけではない。国内の科学技術系学術誌は発展中だが、国内の科学研究水準と比べるとその発展はまだ遅れている」と述べた。任氏は次のように説明した。
 「SCI(Science Citation Index)」に収録された中国の論文は、2000年に2万2608編に上り、うち9208編(40.73%)は中国の学術誌に掲載された。中国筆頭著者によるSCI論文数は、2013年に20万4100編に上ったが、中国の学術誌に掲載されたのは11.97%の2万4431編のみ。
 また国内の科学技術系学術誌で発表される、高い影響力を持つ科学研究成果も依然として少ない。任氏は、「この現状を変えるためには、国内科学技術系学術誌の信頼と影響力を高めることが重要になる」と指摘した。

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