2016年06月20日-06月24日
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中国が量子科学実験衛星を打ち上げへ、その用途は?

2016年06月22日

 中国は今年8月、世界初の量子科学実験衛星を打ち上げ、かつ世界初の衛星-地上間の量子通信を実現し、宇宙と地球をつなぐ量子機密通信・科学実験システムを構築する。新華社が伝えた。
 これは中国科学衛星シリーズの3基目の衛星だ。昨年12月17日に酒泉衛星発射センターから打ち上げられた暗黒物質粒子探査衛星「悟空」は、現在までに大量の科学データを入手している。さらに中国初の帰還型微小重力科学実験衛星「実践10号」も、今年4月6日に打ち上げられ、宇宙での実験任務を計画通りに完了した。
 中国科学院国家宇宙科学センターの呉季センター長は、「科学衛星は人類が自然を認識するための、最も重要かつ最も直接的な手段の一つだ。人類はこれにより宇宙環境、各種天体、宇宙物質に関する大量の貴重な資料を入手し、多くの科学探査・科学研究成果を手にしている。これらの衛星は人類が宇宙を認識し、宇宙に進出し、宇宙を利用するため重要な力を発揮している」と述べた。
 世界各国は現時点で、500基以上の科学衛星を打ち上げている。米国初の人工衛星である「エクスプローラー」はその後、シリーズ衛星に発展した。他にも日本の「しんせい」、英国の「アリエル」などがある。これらの科学衛星は貴重なデータと新たな発見をもたらした。例えば地上から600キロ~4万キロ離れた所に、2本の放射帯があることが分かった。また太陽から絶えずプラズマ(太陽風)が噴出していることが明らかになった。それから地上から1000キロほど離れた所に、ヘリウムなどでできた地球コロナがあることが分かった。
 呉氏は、「中国は昨年になりようやく真の意味での科学衛星シリーズを有するようになり、昨年1基目の衛星、暗黒物質粒子探査衛星を打ち上げた。今年8月に量子科学実験衛星を打ち上げた後、年末までに硬X線変調望遠鏡衛星を打ち上げる。さらに今後5年ほどをかけ新たな科学衛星5基を開発・発射し、宇宙科学・技術・応用の一連の重大な革新的突破を実現する見通しだ」と述べた。

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