2016年07月01日-07月01日
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4450枚の反射鏡ユニットからなるFAST、世界最強の「天眼」

2016年07月05日

 直径500メートルで世界最大の電波望遠鏡が3日、貴州省カルスト地形の窪地への取り付けが完了した。この「天眼」と名付けられた望遠鏡は、宇宙の遠い声を聞き、その神秘を観測するのだ。人民網が各社の報道をまとめて伝えた。
◆貴州省黔南地区が設置場所に選ばれた理由
 FASTは、貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県克度鎮金科村の自然の窪地に設置されている。これは円形の天然カルスト窪地で、大きい鍋のような形をしたFASTの建設に適している。
 この窪地はカルストの地質条件により、雨水を地下に流す。そのため表面に水がたまり、望遠鏡を壊すことはない。また窪地から半径5キロ内に村がなく、25キロ内にも県城が1つしかない。理想的な無線電波環境で、深刻な自然災害の記録もない。
◆中国の大型電波望遠鏡の特長
 レドームを知っている人ならば、その口径が大きいほどテレビの画面がよりクリアになることをご存じだろう。電波望遠鏡の場合、口径が大きいほど遠くを見通すことができるのだ。
 中国科学院国家天文台500メートル口径球面電波望遠鏡プロジェクトの王啓明チーフワーカーによると、望遠鏡の反射面の面積は25万平方メートルで、一般的なサッカーグラウンド30個分に相当する。反射鏡ユニットの厚さはたった1ミリだが、アルミ合金を2000トン以上使用し、ビーム、ネット、フィードキャビンの6基の塔だけでも1万トン以上の鋼材を使用している。
 しかし大型電波望遠鏡は金属を積み重ねてできた「でくのぼう」ではなく、最も精密な天文計器だ。光メカトロニクスのフィードプラットフォームを使用し、フィードキャビン内の並列ロボットによる2回の調整を加えることで、フィードと反射鏡間が直接つながっていなくても、ミリメートル級の追跡を可能にしており、宇宙の微弱電波信号を正確に集め、聞き取ることができる。
 中国科学院国家天文台研究員で500メートル口径球面電波望遠鏡プロジェクト副チーフの彭勃氏は「当初の設計理念は、米アレシボ天文台から得られた。しかしアレシボ天文台と比べ、能動反射鏡システムは我々の最大の革新となっている。大型電波望遠鏡のネット構造は天体の移動の変化に伴い、ネット上の4450枚の反射鏡ユニットを動かし、電波望遠鏡の電源方向に300メートル口径の放物面を瞬時に形成することで、観測効率を大幅に高めることができる」と説明した。
 アレシボ天文台は固定望遠鏡で、アンテナフィードの位置を変えることで、宇宙の約20度の帯状エリアを観測することしかできない。能動反射鏡により、中国の大型電波望遠鏡はより幅広い観測範囲を手にし、40度の天頂角をカバーできる。
 中国科学院国家天文台副台長の鄭暁年氏は、「100メートル口径の独エフェルスベルク電波望遠鏡は、地上最大の設備と呼ばれていた。中国の大型電波望遠鏡の感度は、それに比べ約10倍に向上している。300メートル口径のアレシボ天文台は、50年以上にわたりそのトップの地位をキープしてきたが、中国の大型電波望遠鏡の総合性能は、その約10倍まで向上している。これは今後10年から20年に渡り、世界トップクラスの設備の地位を守り続けるだろう」と語った。
◆天眼の用途
 鄭氏は、「FASTは竣工後、中国の天文学研究の優れた武器になる。その他の電波望遠鏡と同じく、中国の大型電波望遠鏡の最も主要な2大科学目標は、宇宙の中性水素の探査とパルサーの観測だ。前者は宇宙ラージスケール物理学の研究により、宇宙の起源と変化を探る。後者は極端な状態における物質構造と物理法則を研究する」と説明した。
 また同望遠鏡はさまざまな奇妙な天体を見つけられる可能性がある。パルサーの観測、宇宙の起源と変化、星と銀河系の変化の探査などにも用いられる。さらには星と星の間の通信信号をキャッチし、地球外文明の探査を行うことが可能だ。
 彭氏は「大型電波望遠鏡が地球外文明の探査に用いられるか否かが注目を浴びているが、その答えはイエスだ。これは太陽系外惑星、特に地球に似た惑星を見つける武器だ。感度が高くなったため、より遠く暗い天体を見つけることができる。星と星の間の分子や通信信号の探査により、地球外文明を発見できる確率が従来の設備の5−10倍に上がる」と述べた。

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