2016年07月11日-07月15日
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科学調査船「雪竜号」、極地科学観測隊の「動く城」

2016年07月20日

 中国第7次北極科学観測隊は上海港を離れ、北極に向け一路北上している。この先78日間にわたり、隊員らは果てしなく続く海で働き、食事し、休憩、生活していく上で、彼らは乗船する科学調査船「雪竜号」から一歩も離れることはできない。新華網が伝えた。
 雪竜号には大小あわせて2つの食堂があり、科学観測隊の隊員と船員全員が同時に食事を取ることができる。基本的な朝昼晩の三食のほか、毎日23時以降も夜食が提供される。趙炎平船長は「食品の品質保持期限に限りがあるため、雪竜号は出航して2週間も経つと、食卓に並ぶ葉物野菜が減少し、代わりに白菜やじゃがいも、大根、もやしなど保存しやすい野菜が食卓に上るようになるが、果物は全航程中の提供が可能だ」と述べた。
 趙船長によると、雪竜号は2013年にリフォームを行い、居住エリアの面積がさらに拡張された。現在の船内のベッド数は約160床。隊員の部屋に入ると、ソファー、本棚、タンス、バスルームのすべてが揃っている。室内のエアコンもよく効いている。ベテラン隊員によると、極寒の極地であっても、隊員は船内で活動する際に防寒服を重ね着する必要はなく、ルームウエア一枚で十分だという。
 科学観測隊員が雪竜号を、親しみを込めて「海上の4つ星ホテル」と呼ぶことには、もう一つの大きな理由がある。船内の娯楽やフィットネス施設は、十分3つ星以上のホテルの基準に相当するからだ。写真は雪竜号の卓球室とサウナルーム、フィットネスルーム。
 また雪竜号には図書室もあり毎週定期的に開放されるため、隊員はここで自分の好きな本を借りられる。
 船内にはさらに、郵便局もある。郵便物を郵送し受け取ることはできないが、記念封筒を購入し、スタンプを押すことができる。隊員にとってこれは非常に大切な記念品になるだろう。
 科学調査船の雪竜号にとって、最も重要な機能は当然ながら科学研究者の勤務を支え、使いやすい実験や研究の場を提供することだ。趙船長によると、雪竜号の実験室の面積は500平方メートル以上で、海洋物理や海洋化学、海洋生物学など多学科の総合観測、データ分析を行うのに十分なスペースが設けられているということだ。
 雪竜号はこのほかにも今回、海氷の観測、氷上作業支援、緊急対応用の2機のヘリを搭載している。

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