2016年08月08日-08月12日
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英メディア、中国と西側諸国が科学技術で「相互参照」の段階に突入

2016年08月10日

 モバイルインターネットのビジネス発展の将来性を理解しようとする企業であれば、(米国の)シリコンバレーだけに目を向けず、太平洋の対岸の中国にも注目するべきだ――英エコノミスト誌(最新号)は、モバイルインターネットアプリを中心とする中国の科学技術の発展の成果に焦点を絞り、こう感嘆を漏らしている。この世界的に影響力を持つ雑誌は、中国の科学技術に強い関心を示し、中国と西側が科学技術分野で「革新の相互参照」の段階に入ったことを強調した。人民日報が伝えた。
 エコノミスト誌は「中国の技術先駆者」と題したトップ記事で、次のように指摘した。
 多くの人は、中国の科学技術業界は「閉鎖的な市場」と考えている。中国の科学技術企業は剽窃と模倣しかできず、他者の発明と創造を自分のものにするというのだ。しかし実際には詳細に観察することで、中国の科学技術業界全体が、より前向きで創造力あふれる別の一面を持つことが容易にわかる。中国で広く使用されているモバイルインスタントメッセージングソフトウエア「微信」を例としよう。英国ではごくありふれた、ほぼすべての人に使用されているWhatsAppは、中国の微信に大差をつけられている。中国人ユーザーにとって、西側のモバイルアプリは「時代遅れ」であり、微信のようにシンプルで便利で、多様な機能を持たない。微信は多機能集約により、世界でも唯一無二の地位を占めている。微信の月間アクティブユーザー数は7億人を超えており、インスタントメッセンジャー、トランシーバー機能、コンテンツ閲覧、ゲーム、決済といったさまざまなサービスを提供しており、すでに一般的なアプリの定義を超え、膨大な総合的・系統的な場となっている。匯豊銀行は微信の価値を800億ドル以上と見積もっている。
 微信は唯一の例ではない。中国で有名なネット通販企業のアリババは、オンライン通販の取引における信用問題を解決する、第3者決済サービス「支付宝」を開発した。同社は現在、さらに多くのサービスを提供している。オンライン配車サービスの滴滴打車はサービス拡大に取り組んでおり、路線バス用の「滴滴公交」や新車のテスト運転等サービスを打ち出している。また新浪微博の多くの機能も、西側で普及しているツイッターには備わっていない。
 科学技術業界の発展において、中国と西側諸国は「相互参照」の段階に足を踏み入れている。中国企業の成功経験は、西側消費者のモバイルインターネットの体験を再構築しようとしている。微信の一部機能の啓発を受け、フェイスブックはネット通販や決済などの機能を、自社のメッセージングシステムに取り込もうと試みている。
 このように論じるのは、エコノミスト誌だけではない。英フィナンシャル・タイムズ紙も先ほど、「投資家は米国の潜在力よりも中国の技術に期待している」と強調し、次のように論じた。
 米国はこれまで、科学技術分野の「世界のリーダー」を標榜してきた。しかし中国は無人機、電気自動車、データ発掘など数多くの分野で、米国との差を縮め続けているようだ。中国ベンチャー企業には、米国の同業者よりも多くのデータに接することができるというメリットがある。中国は少なくとも、米国と同じ程度のことはできる。人工知能にはデータが必要だが、中国はこれを多く持っているからだ。中国は無人機などの分野で米国を超えており、さらに中国の多くのフィナンシャルテクノロジー企業の業務は、米国の同業者よりも多元的で興味深い。
 米NYタイムズも以前シリコンバレーの企業に対して、中国からモバイルアプリのインスピレーションを得ること、さらには中国製品を模倣することを提案していた。

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