2016年09月05日-09月09日
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地球を脅かす小惑星の観測に中国が初成功

2016年09月09日

 中国科学院紫金山天文台の研究員は7日夜、アジア最大の「地球の哨兵」と呼ばれる1.2メートル口径近地球天体望遠鏡を使い、江蘇省の観測所から初めて小惑星「2009ES」を観測した。この小惑星は国際天文学界によって、地球に対して潜在的脅威を持つ近地球小惑星の一つとされている。科技日報が伝えた。
 同観測所に設置された1.2メートル口径シュミット式近地球天体望遠鏡は、国際小惑星観測設備の中で重要な地位を占めており、観測データは2年連続で世界第5位、アジア第1位となっている。この「地球の哨兵」は7日夜、再びその「威力」を示した。
 「地球の哨兵」が入手した宇宙の白黒写真は、一般人からすれば平凡で無味乾燥に見えるが、観測者はこれを宝とし詳細に研究する。中国科学院紫金山天文台近地球天体望遠鏡チームの上席研究員である趙海斌氏は「見つかった」と叫び、椅子から立ち上がった。「これだ!」と、趙氏はパソコンの写真中央をかすめる細い痕を指差し、「こいつは動きが速い」と述べた。
 米アリゾナ州レモン山天文台が2009年、「2009ES」を発見した。これまで世界の8ヶ所の観測所がこの惑星を観測していたが、中国の天文学者は7日夜になり初めてこの「危険分子」を観測した。
 国際小惑星観測網の情報によると、2009ESの直径は150−470メートルほどで、最も近い時で地球と月の距離(約38万キロメートル)の約18.8倍まで接近する。統計・分析によると、直径10キロメートルの小惑星が秒速10キロメートルの速度で地球に衝突した際に生じるエネルギーは、原爆30億個分に相当する。天文学界では、今から約6500万年前に恐竜が絶滅した原因は、直径10キロメートルほどの小惑星が地球に衝突したことではないかとされている。

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