2016年10月03日-10月07日
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海昏侯墓の発掘が終了、竹簡には論語などが記載

2016年10月10日

 5年以上の月日をかけて行われた帝・王・侯を集めた南昌市にある前漢の海昏侯・劉賀墓の発掘調査が9日、順調に完了した。海昏侯国遺跡の調査、文化財の整理・保護などの作業は現在も続けられている。人民日報が伝えた。
現時点までに明らかになっている最新の成果は以下の通り。
〇墓の内棺に劉賀の遺体の痕跡がかすかに認められること。
〇「劉賀」という名前が刻まれた玉印が、遺体の腰の位置に留められていたこと。
〇考古学者は5000本以上の竹簡(文字を記した竹片)を分離し、「論語」「易経」「礼記」「医書」「五色食勝」「悼亡賦」といった古文書の内容を確認している。
 劉賀墓の内棺は年初、そのまま実験室に運び込まれ、全面的に実験室内の発掘・整理段階に入った。5ヶ月間に渡る整理・処理、サンプル分析、標本の検査といった一連の手順を踏まえ、劉賀の主棺の整理がほぼ完了した。内・外棺は現在も整理中だ。内棺に劉賀の遺体の痕跡がかすかに認められ、金箔を貼り付けた美しい漆器が副葬されていた。遺体の頭部から腹部には、覆面、玉枕、複数の大小まちまちの玉璧が見て取れる。「劉賀」という名前が刻まれた玉印が、腰に留められている。整理により、劉賀の遺体は金メッキが施された絹の瑠璃席に横たわっていることが分かった。歯はなおも残されており、瑠璃席の引き出しには100枚の金餅(金の円形の延べ板)が並べられていた。今回の発掘により出土した金器は478点で、中国の発掘調査としては最多。棺内の漆器の残存物をX線イメージング技術で分析したところ、美しい瑪瑙珠や金メッキの青銅箱などが見つかった。
 考古学者は今年以降、5000本以上の竹簡を分離している。赤外線スキャンにより、薄れた文字がはっきりと浮かび上がった。竹簡のさらなる固化・整理・スキャンが間もなく開始され、年末までに保護と資料入手を終え、来年には文字の解読と研究の段階に入る予定だ。

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