2016年10月17日-10月21日
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宇宙実験室「天宮2号」、船内で「宇宙環境保護者」が大活躍

2016年10月25日

 宇宙飛行士が宇宙実験室「天宮2号」の中で新鮮な空気を吸い、有害ガスの吸引を防止するためにはどうするべきだろうか。中国空間技術研究院北京空間機電研究所が24日に発表した情報によると、同研究所は宇宙実験室内に小型「宇宙環境保護者」、すなわち「天宮2号軌道上有害ガス検測装置」を取り付けた。実験室内の空気の状態を検測し、宇宙飛行士の安全を守る。京華時報が伝えた。
 同装置はコンパクトだが高性能で、正方形の大容量の脳と、スポンジのような短い円柱型のボディを持つ。大きさはA4紙よりも小さいほどで、片手で軽々と持ち上げることができる。
◆船内の空気を24時間検測
 天宮2号内には、各種計器がゆっくり放出する有害物質と、人の呼吸によって生じる有害ガスがある。宇宙飛行士の駐留前、同装置は船内の空気をしっかりと検査し、これらのガスが基準を超えると警報を出し、船内の空気清浄システムが稼働開始する。
 宇宙飛行士が実験室内で活動中、検測装置は24時間に渡って高い感度を維持し、船内の空気を定期的にチェックし、宇宙飛行士の安全を保障する。
◆10種類の有害ガスの濃度を測定
 この「環境保護者」は、どのようにして実験室の身体検査を行うのだろうか。同研究所の科学研究者は、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンガス、アンモニア、ベンゼン、トルエンなど10種類の有害ガスの濃度を特定できる、特殊な「消化システム」を開発した。稼働開始すると、まず「長い鼻」(空気ポンプ)を伸ばし実験室内の気体を吸引し、これを「気管」(ホローファイバー)に送り込む。
 同装置の気管は十数メートルあり、ガスの動くルートを増やすことができる。これらのガスが気管を通過する際にその特徴をつかむため、装置の「消化酵素」(タングステンハロゲンランプ)を使用する。消化酵素の促進作用により、ガスの特徴をつかむ感度が高まる。
 こうして特徴が明らかになったガスは、気管から出ると「胃」(小型分光計)に入る。「環境保護者」の胃には高精度の識別能力があり、成分の異なるガスの種類を識別できる。「胃」に入ったガスの分子には、その化学成分と構造と一致する吸収スペクトルがある。これは俗に「指紋スペクトル」と呼ばれており、人間の指紋と同じく、ガス特有の「身分」を示す。有害ガスの成分は検測装置からデータを得る。濃度が基準超であれば、直ちに警報が発せられる。

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