2016年11月28日-11月30日
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煙霧が抗生物質への耐性を生む? 専門家は否定

2016年11月29日

 北京の煙霧には平均60種以上の薬剤耐性遺伝子が含まれ、これにより抗生物質の薬効がなくなることになる。ヨーテボリ大学の教授によるこの研究は、このほど注目を集めている。しかし、中国の専門家によると、抗生物質の薬剤耐性の元凶は煙霧ではないという。新華社が伝えた。
 これらの薬剤耐性遺伝子のうち1種は臨床応用で最も広く用いられているカルバペネムに抵抗するという。カルバペネムは呼吸器感染症、敗血症などに広く用いられ、深刻な細菌感染症の治療に最もよく用いられる抗菌薬の一つだ。
 中国疾病予防コントロールセンター環境・健康関連商品安全所環境微生物室副主任の孫宗科博士は、「煙霧は薬剤耐性遺伝子を生まない。細菌の薬剤耐性は、進化と選択、抗生物質などの誘導によって得られるため、煙霧によって得られるわけではない」と指摘した。
 薬剤耐性遺伝子は、どのようにして生まれるのだろうか。孫氏によると、自然界における微生物は長期的な進化・選択の過程を受け、薬剤耐性遺伝子を生む。細菌は抗生物質、重金属、殺虫剤などその他の物質の選択作用を受け、薬剤耐性を得ることがある。また、遺伝子の異なる細菌間の遷移も、薬剤耐性を生むことがある。しかし、薬剤耐性遺伝子の発見は、薬剤耐性菌の発見とは異なり、薬剤耐性を生む菌の発見とは異なっている。
 孫氏は「病原菌が薬剤耐性を得たとしても、病原菌としての力が変わったり、新たな感染源を生むことはない。病原菌が薬剤耐性を得ると、治療がより困難になり、臨床上の抗生物質の使用が頻繁になり、抗生物質の新薬の開発が困難になるということこそが深刻な問題だ」と話した。

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