2016年12月01日-12月02日
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新エネ懸垂式モノレール、今後の活用に期待

2016年12月01日

 四川省成都市双流西南航空港経済開発区でこのほど、世界初の新エネ懸垂式モノレール試験線が、人々の注目を集めた。白と黒のパンダ模様を採用しているため、「パンダ号」という愛称で親しまれている。光明日報が伝えた。
 新エネ懸垂式モノレールプロジェクト・チーフデザイナー、西南交通大学首席教授の■婉明氏(■は曜のつくり)は、記者のインタビューに応じた際に、「新エネ懸垂式モノレールは新型の都市軌道交通手段で、軽量型、中速度、中程度の輸送量を持つ公共交通ツール。安全、グリーン、エコロジー、全自動化、全天候型、低コスト、高コストパフォーマンスなどの特長を持つ」と述べた。
 情報によると、同試験線の設計上の時速は60キロで、車両の全長は1両当たり18メートル、幅は2.3メートル、定員は120人。■婉明氏は、「これは中国がドイツと日本に続き、懸垂式モノレール交通技術を世界で3番目に把握した国になったことを意味する」と話した。同試験線は高圧電線により動力を供給するのではなく、リチウム電池パックを列車のけん引動力としている。これは世界初の快挙となる。中国は関連技術において完全に独自の知的財産権を持っており、これは中国レール交通分野の重大な革新だ。
 遠くから見ると、新エネ懸垂式モノレールは人の頭上を運行しているように見えるが、この新技術の安全性と安定性は高いのだろうか?
 ■婉明氏によると、車両は運行中に箱型のレール内に入った状態のため、脱線事故が生じることはない。列車が空中の専用レールを運行中に、その他の物体と衝突することもなく、安全が十分に保障されるという。専門家によると、現時点で最大のリスクになっているのは運行中に電力が尽きることだ。緊急事態時には車両の前後の窓が開けられるようになっており、そこから乗客は滑り台やはしごで避難することができる。また、別の列車に乗り換えることも可能で、安全に避難できる。
◆新エネ懸垂式モノレール、どのようなメリットが?
 新エネ懸垂式モノレールは現在、試験線での技術検証・改善の段階にある。将来的に実用化された場合、どのようなメリットがあるのだろうか?
 専門家は、「地下鉄、ライト・レール・トランジット、リニア車両と比べた場合の最大のメリットは、高い適応性だ。そのカーブの最小半径はわずか30メートルで、都市レール交通の選択において高い柔軟性を持ち、建設工事による立ち退きを最小限に抑えることができる」と分析した。
 コストと効率を比べると、地下鉄建設では巨額の経費が必要になるが、新エネ懸垂式モノレールのレールと柱は工場で事前に製造し、現場でそのまま組み立てることができる。施工しやすく、周囲への影響が少なく、工期が短い。しかも、列車が電池をけん引動力とするため、夜間の電気使用量が少ない時に充電でき、グリーンでエコロジーだ。
 しかし、地下鉄と比べると、輸送量などがやや劣っている。■婉明氏は、「懸垂式モノレールは多くの交通手段の一種であり、都市レール交通の重要な補完だ。新エネ懸垂式モノレールは現代新型交通ツールとして、将来的に都市・農村間、都市間の立体的な交通連結、中心都市交通中枢の一体化連結、人気観光地の交通などの分野で広い市場を持つだろう」と分析した。

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