2016年12月12日-12月16日
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浙江大学、近視治療に役立つ技術を発明

2016年12月14日

 浙江大学化学工程合同国家重点実験室の謝涛教授が率いるチームはこのほど、三次元立体形状材料を作る新たな手段を発明した。二次元の1枚の膜が数分間で花びらとなり、羽を生やし、さらには人類の五官を生み出す。さながらマジックのようだ。銭江晩報が伝えた。
 人間の角膜は特殊なバイオゲルだ。理論上、角膜は同チームが作り出したゲルのように変形できる。
 角膜は目の屈折力を作り出し、外界の光線が網膜上で正確に形を形成できるようにする。角膜曲率が高すぎ、網膜の前方で像が浮かび上がると近視になり、その逆であれば遠視になる。
 同チームは光の照射によりゲルの正常を変えることが可能だ。それならば光の照射により角膜のタンパク質化学構造を変え、不均一的な吸水・変形により曲率を正常にできる可能性がある。これが実現すれば、近視・遠視の問題が解消されることになる。
 当然ながらこの技術を実現できるのは、まだ先の話だ。しかしこの多次元材料の生成方法には他にも近い将来に実現可能な用途がある。それは貴金属の製造のサポートとしての用途だ。
 貴金属の製造にあたり職人はまず設計図に基づきガリ版を刷り、さらにロストワックス製法により銀板を作る。これは貴金属の加工で最も時間がかかり、技術が最も必要とされるプロセスだ。銀板は無傷でなければならず、各部分の構造が合理的で、宝石をはめ込む位置やそのサイズが正確である必要がある。
 ロストワックス製法は以前、人の手で行われていた。現在は3Dプリンターがあるが、それでも数時間はかかる。同チームの変形材料を用いれば、光を照射し水に浸せば、数分で型が出来上がる。しかし謝教授は「これは型を得るだけに過ぎず、貴金属を作るならばさらに材料注入、宝石の選択といった約20ものプロセスが必要となる」と話した。

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