2017年01月02日-01月06日
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中国が今後10年間で、原子炉60基を建設へ

2017年01月05日

 国家核電技術公司の責任者は先日のインタビューで、中国は今後10年間で原子炉を60基建設することを明らかにしたが、これほど多くの原子炉を建設して、安全なのだろうか。経済が新常態を迎え、全社会の電力使用量が伸び悩み、新たな余剰生産能力を生むことはないのだろうか。科技日報が伝えた。
◆10年間で60基は急ぎすぎか
 「10年間で原子炉60基」はニュースとして確かにセンセーショナルだが、実は特に目新しい情報という訳ではない。なぜなら国務院が発表している「エネルギー発展戦略行動計画(2014−20年)」には、2020年までに原発の規模を5800万kWに、建設中の原発の規模を3000万kWにするとしていたからだ。
 国家核電技術公司専門家委員会委員の林誠格氏は、「稼働中の28基の設備容量が2614万8000kWで、建設中の26基が2912万kWであることから、2020年までに5800万kW規模には達すると思われるが、建設中の3000万kWという目標には届かない。そのため第13次五カ年計画期間中(2016−20年)に28−30基建設する必要がある。同じペースならば、2025年までにさらに30基ほど建設しなければならない」と解説している。
 中国のエネルギーグリーン・低炭素発展目標によると、非化石エネルギーが一次エネルギーの消費量に占める割合を15%とし、GDP単位当たりCO2排出量を2005年より40−45%削減する。2030年にはこれを20%前後、60−65%とし、さらに2030年頃までにCO2排出のピークを迎え、その早期実現を目指す。中国の国際社会への約束を実現するためには、グリーン・低炭素エネルギーはそれぞれこの発展目標を達成しなければならない。原発の設備容量を2020年までに5800万kW、建設中を3000万kWにするとあるが、これは最低限の量だ。
 原発は果たして安全か?
 福島原発事故は社会と人々に大きな影響を及ぼし、「受け入れられない」とする人もいる。放射能防護専門家、中核集団の潘自強氏、清華大学原子力・新エネ技術研究院教授の何建坤氏、中広核蘇州熱工研究院研究員の周如明氏らは、福島原発事故を全面的かつ詳しく分析した上で、福島原発事故が「原子力は安全で環境にやさしいエネルギー」という結論を変えることはないと指摘した。潘氏の研究によると、各種エネルギーの温室効果ガスの排出量を見ると、褐炭、石炭、石油、太陽光、推力、バイオマス、風力、原子力の順で、原子力が最も少ない。また、人の健康への影響を見ると、原子力の放射線量は石炭を大きく下回るからだ。

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