2017年01月09日-01月13日
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中国がボールペンのペン先を自主開発、輸入依存から脱却へ

2017年01月09日

 中国の製造業には長期に渡り、一つの問題が存在していた。李克強総理が指摘しなければ、多くの人がそれを知らなかったことだろう。中国のペン製造メーカーは3000社以上、従業員20万人以上、そして年間400億本以上の生産量という「ペン製造大国」になっているが、この誇らしい数字の裏側には、コア技術と材料が極度に輸入に依存するという苦境が隠されていた。ペン先に使われる大量の「ボール」を、輸入しなければならないためだ。
 中国は製造業大国であるが、なぜ小さな部品さえ自国で開発・生産できないのだろうか。
 寧波貝発集団品質部責任者の徐君道氏は「私がペン業界に入ってから、ボールペンのステンレス材料は日本から輸入していた。国内のみならず、海外のペンに使われるステンレス材料も日本製だ」と話した。
 ボールペンの先端は、ボールと口金に分かれる。直径0.5−1.0ミリの炭化タングステンボールならば、中国は国内の生産の需要を満たせるばかりか、大量に輸出している。しかし直径2.3ミリのチップ径については、生産設備にせよ原材料にせよ、長期的にスイスや日本などの国が掌握する領域だった。中国は毎年、380億本を生産するため、1トン12万元(1元は約17.05円)の価格でペン先に使われる1000トン以上の鋼材を輸入し、1500万ドルもの外貨をその代金として支出していた。
 中国は数百億本のボールペンに「中国のペン先」をつけるため、2011年にこの重点プロジェクトの難関突破を開始した。
 太鋼集団技術センター高級エンジニアの王輝綿氏は「鋼材でペン先を作るため、多くの特殊な微量元素を用い、鋼材に最高の性能を発揮させなければならない。微量元素の割合の微妙な変化が、鋼材の品質に影響を及ぼす。この割合が分からなければ、中国のペン業界は永遠にペン先に使う鋼材を輸入しなければならない」と述べた。
 そして「この製品を開発するため参考可能な資料がないため、一つの成分の割合を調べるため数十キロを用いる。各種成分をどれほど加えるかについては、統計を取ることができない」とその難しさについて説明した。
 ペン先の生産技術は海外企業の重要機密事項だ。王氏らはこのかつてない技術を自主開発しなければならなかった。参考になるものがなく、データを蓄積し、設計・製造方法を調整し続けるしかない。
 5年間にわたり、数え切れないほどの失敗を経た実験が昨年9月についに成功した。鉄鋼を十数回大規模精錬し、初めて被削性の高い鋼材が完成した。この直径2.3ミリのステンレスワイヤーはようやく胸を張って「中国製」と名乗れるできあがりとなった。
 貝発集団の実験室で、太鋼集団が生産したペン先を用い、限界に挑む実験が進められている。同じ角度で、すべてのペンが800メートル途切れることなくインクを出し続けなければならない。これはすでに6回目の実験となる。
 現在一部のペン企業はすでにこのペン先の使用を開始しており、今後2年間で完全に輸入品の代替品になる見通しだ。

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