2017年04月17日-04月21日
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中国の宇宙ステーション建設における宇宙補給船の役割とは?

2017年04月21日

 よく知られている有人宇宙船「神舟」や宇宙実験室「天宮」と比べ、無人宇宙補給船「天舟1号」はまだ神秘のヴェールに包まれている。これは人を乗せず物資のみを輸送する、中国初の無人宇宙補給船だ。中国青年報が伝えた。
 天舟1号の飛行任務は、宇宙実験室飛行任務の「締めくくり」とされている。同任務が成功すれば、中国有人宇宙事業は全面的に第2ステップを終え、第3ステップ、すなわち宇宙ステーションの建設の段階に入る。つまり天舟1号の任務が完了すれば、中国は「宇宙ステーション時代」に突入することになるのだ。
 航天科技集団第五研究院天舟1号チーフデザイナーの白明生氏は、天舟1号の中国有人宇宙事業における位置づけを理解するためには、中国有人宇宙ステーション計画から説明する必要があると指摘した。
 中国は90年代前半、正式に有人宇宙事業を開始し、「3ステップ」の発展戦略を策定した。第1ステップは有人宇宙船の段階で、主に有人宇宙船を開発し、宇宙飛行士を宇宙に送り届け、宇宙応用実験を実施し帰還させるというもので、中国有人宇宙事業は第1ステップの目標を既に実現している。
 次が第2ステップ、宇宙実験室の段階だ。第1段階でドッキング技術と船外活動技術を把握し、宇宙飛行士の宇宙中期駐留の検証に成功した。今や第2ステップは最後の任務、すなわち天舟1号の飛行任務を残すのみだ。
 白氏によると、長期的に宇宙飛行士によって管理される宇宙ステーションを建造するためには、「人(宇宙飛行士)」と「宇宙ステーション」が最も基本の最も重要な要素となる。宇宙ステーションの運行に必要な燃料(推進剤)、人員の勤務及び生活に用いる物資がすべて必要だ。そこで専門的な輸送ツールが、物資の補給と宇宙ステーションの「給油」を担当する必要がある。この重要な使命は、宇宙補給船が担当する。
 白氏によると、中国有人宇宙事業は開始から現在にいたるまで、宇宙と地球を行き来する有人宇宙船を有しているほか、宇宙船どうしのドッキングを実現済み、宇宙飛行士の1ヶ月ほどの宇宙活動、さらには船外活動も可能となっている。これらは第3ステップの宇宙ステーション建設の基礎となる。
 言い換えるならば、第1・2ステップは準備段階であり、この準備作業が間もなく完了することになるわけだ。白氏は「天舟1号が任務を完了すれば、中国は軌道上を運行中の宇宙船に物資と推進剤を補給する能力を備えたことになる。これは未来の中国宇宙ステーションの軌道上における長期有人飛行の前提となる」と話した。
 白氏によると、まず物資補給の上で、宇宙船「神舟」は宇宙飛行士を送り届けるほか、300キロの物資を積載できる。しかし宇宙飛行士が未来の宇宙ステーションで長期的に勤務・生活するためには、大量の食べ物、水、酸素、予備品が必要となる。そのためより大型の宇宙補給船で1度に数トンの物資を送り届ける必要がある。天舟1号は1度で6トン以上を運ぶことができる。
 次に推進剤の補給。天舟1号の最大の見所は、天宮2号とドッキングした後の、軌道上での推進剤補給。これは俗に「宇宙給油」と呼ばれている。推進剤の軌道上補給技術を検証することで、今後の大型宇宙ステーションの建設に向け基礎を固めていくことになる。

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